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夫が不倫相手に貢いだお金を返還請求できる? 新潟の弁護士が解説します

2019年10月16日
  • 一般民事
  • 貢いだお金
  • 返還請求
夫が不倫相手に貢いだお金を返還請求できる? 新潟の弁護士が解説します

新潟県の特色のひとつには、離婚率が低いことがあげられます。
実際に厚生労働省が発表する「平成30年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、平成30年、新潟県における離婚率は人口千人あたり1.26と、全国で2番目に低い離婚率を示しています。こうした背景の一因には、「粘り強い」「ひたむき」「堅実」といった新潟の県民性があるのかもしれません。

ところで、離婚には至らなくとも、結婚生活にはさまざまなトラブルが起こるものです。
たとえば夫が浮気をしていただけでなく、その不倫相手に多額のお金を貢いでいたことが妻に発覚してトラブルになることがあります。
夫が家計の中から不倫相手に貢いでいたり、消費者金融などから借金をして貢いでいたりしたときには、妻としては不倫相手から貢いだお金を取り戻したいと思うのは当然のことといえるでしょう。
本コラムでは、「夫が不倫相手に貢いだお金を返還請求できるのか」をテーマにベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が解説していきます。

1、不倫相手に貢いだお金は返還請求できる?

不倫関係にある場合、レストランでの食事代やプレゼント代などの交際にかかる費用だけでなく、不倫相手の生活費や家賃などまで長期間にわたって貢いでいることもあります。
こうしたお金を取り戻すことはできるのでしょうか。

  1. (1)返還請求は裁判ではほとんど認められない

    結論からいえば、貢いだお金についての返還請求が認められることは少ないといえます。
    ただし、これは当事者同士でもめて、裁判になった場合の話です。不倫相手に返還請求をすること自体ができないわけではありません。不倫相手に返還請求して、不倫相手が応じれば貢いだお金を取り戻すことができます。
    しかし返還請求を認める法的根拠がないケースが多いため、裁判になった場合には基本的には貢いだお金の返還請求は認められることは少ないといえるのです。

  2. (2)基本的に贈与契約と判断される

    返還請求が裁判で認められない理由としては、貢いだお金については「贈与によって取得した」と判断できる可能性が高く、「贈与」であれば返還請求は認められないためです。
    贈与については、民法549条で次のように規定されています。

    民法第549条
    贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。


    贈与は贈与者が自己の財産を無償で与えることであり、それに対して受贈者が返還する義務を負う必要はありません。
    つまり、「お金をもらった」「お金をあげた」と判断できる証拠があれば、贈与と判断される可能性が高くなります。

  3. (3)例外的に消費貸借契約では返還請求が認められる可能性も

    例外的に、不倫相手に渡したお金が「消費貸借」と判断できる場合には、裁判上でも返還請求が認められます。
    消費貸借については、民法587条で規定されています。

    民法587条
    消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。


    消費貸借は返還することを約束してお金などを貸す契約であり、借主は返還する義務を負います。
    つまり、「お金はあげたのではなく貸しただけだ」と証拠をそろえて主張する場合には、返還請求が認められる可能性はあります。
    ただし、不倫相手に渡したお金は貸したものであったとしても、不倫関係にある男女間で契約書などが交わされることはほとんどなく消費貸借契約であることを証明するのは難しいといえるでしょう。

2、不倫相手に慰謝料を請求することはできる

  1. (1)不倫相手に慰謝料の請求は可能

    ご説明のとおり貢いだお金について返還請求して取り戻すことは、残念ながら難しいものです。
    しかし妻には、夫の不倫相手には慰謝料を請求できる可能性があります。
    というのも夫と不倫相手は、不貞行為という不法行為をした、共同不法行為者です。そのため、精神的被害を受けた妻に損害賠償として慰謝料を支払わなければならない立場にあるのです。
    ただし不法行為は、故意または過失がなければ成立しません。そのため不倫相手が、夫が既婚者であることを知らなかったり、知りうる状況になかったりした場合には、不法行為は成立しないため慰謝料請求は認められません。
    また、長期間にわたって別居しているなど、事実上婚姻関係が破綻していたと判断できるような状況であれば、慰謝料請求が認められない可能性があります。

  2. (2)請求できる慰謝料の金額は?

    慰謝料の金額を算定する際には、裁判所は職業・社会的地位・年齢・浮気の態様・離婚したかどうかなどを考慮して判断します。つまり、ケース・バイ・ケースで慰謝料金額の相場は異なります。
    一般的な慰謝料の相場は、数十万円~300万円前後と思われます。多額のお金を貢いでいたような場合には、慰謝料額が貢いだお金に満たないこともあるでしょう。しかし、慰謝料請求することで、不倫相手に責任を痛感させることができる可能性はあります。

  3. (3)夫への慰謝料請求も可能

    不貞行為に対する慰謝料は、不倫相手だけでなく夫も共同して支払う義務があります。したがって不倫相手にだけ慰謝料を請求した場合には、夫に求償される可能性もあります。
    たとえば不貞行為による慰謝料総額を100万円だとすると、不倫相手が100万円を支払えば不倫相手は夫に50万円請求できるといった具合です。

    離婚すれば、妻は慰謝料を夫と不倫相手の双方に請求できます。
    一方、離婚しない場合には、妻が夫に請求しても同じ家計であり意味をなさないことがほとんどだと思います。
    したがって離婚しない場合には、夫が求償される金額を考慮した上で不倫相手に慰謝料を請求することになるでしょう。

3、慰謝料請求では証拠が重要! 慰謝料請求の注意点とは

不倫相手に慰謝料の支払い義務があることを認めさせるためには、証拠の存在が重要になります。そのほかにも慰謝料請求においては、知っておくべき注意点があります。

  1. (1)慰謝料請求では証拠が重要

    慰謝料の請求は、まず当事者間の話し合いによる方法で行います。当事者間の話し合いで支払われない場合には、裁判などの裁判所が関与する法的対応を検討してくことになります。

    法的対応では、「慰謝料請求が可能かどうか」「請求する慰謝料の金額は適正かどうか」といった判断が証拠に基づいてなされます。つまり相手が不貞行為を認めていない場合においては、不貞行為の事実があっても証拠がなければ、裁判所によって慰謝料請求は認められないことになります。

    また、当事者間の話し合いの中で慰謝料を請求するときでも、根拠となる証拠を示して請求しなければ、不倫相手が納得して慰謝料を支払う可能性は非常に少なくなります。
    そのため証拠の材料になりそうなものは、日頃から収集しておくことが大切です。

  2. (2)慰謝料請求の注意点とは

    慰謝料請求においては、「時効」にも注意する必要があります。
    慰謝料を請求する権利は、被害者が損害および加害者を知ったときから3年、または不法行為のときから20年で消滅します。
    つまり、基本的には妻が不貞行為があったことと、不倫相手が誰であるかを知ったときから3年を経過してしまうと、裁判を起こしたとしても慰謝料の請求が認められなくなるので注意しなければなりません。
    ただし、時効完成が近いときには、時効を中断させたり、一時的に停止させたりする手続きもあります。そういった場合には、弁護士に相談し、時効の完成を防ぐためのアドバイスを受けて対処していくと良いでしょう。

4、慰謝料請求は弁護士にご相談を

不倫相手に慰謝料を請求する場合には、「顔を合わせたくないし、話したくもない」「直接交渉するのは嫌だ」といった気持ちになることが少なくありません。そういった場合でも弁護士は、依頼者の代理人として相手の女性と交渉することができるので精神的な負担の軽減につながります。

また、弁護士は、法的知識と経験をもとに裁判所に認められやすい証拠についてアドバイスすることができます。そして、集めた証拠をもとに弁護士名で相手と交渉を進めていくことで相手方は納得し、慰謝料の請求に応じる可能性が出てきます。
その他、弁護士は慰謝料の支払いに合意できたときには、確実に支払われるように執行認諾文言付公正証書を残すなど、先を見据えた対策もしていきます。

5、まとめ

本コラムでは、「夫が不倫相手に貢いだお金を返還請求できるのか」をテーマに解説してきました。貢いだお金については、残念ながら返還請求が認められる可能性はあまりありません。しかし、慰謝料を請求することで、家庭から失われたお金を少しでも取り戻すことができる可能性はあります。
もしも配偶者が不倫相手に対してお金を貢いでいることを知り、お悩みを抱えているようでしたら、一度ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでご相談ください。弁護士がご相談者さまのお気持ちに寄り添いながら、どのような法的対応がとれるかアドバイスします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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