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依願退職とクビの違いは?会社に促されたときに検討すべきこととは

2021年07月26日
  • 不当解雇・退職勧奨
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依願退職とクビの違いは?会社に促されたときに検討すべきこととは

新潟市を管轄している厚生労働省新潟労働局では、令和元年度の個別労働紛争解決制度の施行状況を公表しています。それによると、民事上の個別労働紛争相談件数は、4622件、そのうち離職(解雇、自己都合退職、退職勧奨・雇止め)に関する相談が1704件となっています。相談件数全体の4割近い数が離職に関する相談で占められていることからも、離職に関して労働者が不満を感じることが多いといえます。

退職の方法が、「自己都合退職」か「会社都合退職」かによって退職後の雇用保険の受給に違いが生じますので、どちらの退職にあたるかは労働者にとって重要となります。依願退職は、結婚、転居、転職など労働者側の事情によって退職する方法ですが、会社から依願退職をするように求められた場合には、どのように対応すればよいのでしょうか。

今回は、依願退職を会社から促されたときの対処法について、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が解説します。

1、依願退職とは

依願退職とは、どのような退職方法のことをいうのでしょうか。以下では、依願退職の基本的知識について説明します。

  1. (1)依願退職の意味

    依願退職とは、労働者から退職の意思を表明し、「会社と労働者の合意」によって、労働契約を終了させることをいいます。労働者側の事情によるもので、「自己都合退職」に該当する退職方法です。

    労働者には、退職の自由が保障されていますので、会社側の承諾がなかったとしても、労働者側からの一方的な意思表示によって労働契約を終了させることができます。

    しかし、自己都合退職を選択する場合の多くは、依願退職の方法がとられています。依願退職は、労働者と会社との合意によって退職する方法ですので、円満に会社を退職する場合に多く用いられる方法といえます。

  2. (2)依願退職の方法

    依願退職は、一般的に「退職願」を提出する方法で行います。
    「退職届」でも問題はありませんが、依願退職では、会社の合意を得て退職することになりますので、一方的な退職届よりも退職願とした方がよいといえます。

    退職願を提出する時期については、就業規則で1か月前までの提出が求められていることが多いです。
    民法では、期間の定めのない労働契約の場合には、解約の申し入れから2週間を経過することで終了すると定められています(民法627条1項)。
    会社側に雇用保険や社会保険の手続きを円滑に行ってもらうためにも、会社の就業規則の規定に従った時期に退職願を提出するとよいでしょう。

  3. (3)依願退職の注意点

    依願退職は、「自己都合退職」扱いになりますので、以下のような点に注意が必要です。

    ① 失業保険の受給資格
    自己都合退職の失業保険の受給資格は、退職前の2年間に通算して12か月以上あることが必要です。

    会社都合退職の場合は、雇用保険の被保険者である期間が退職前の1年間に通算して6か月以上あることで足ります。

    ② 失業保険の支給日
    会社都合退職の場合は、ハローワークで離職票が受理された日から、7日間が経過した後に失業保険が支給されます。
    しかし、自己都合退職の場合には、そこからさらに3か月経過しないと失業保険の支給を受けることができません

    ③ 失業保険の支給期間
    自己都合退職の場合の失業保険の支給期間は、90日から150日であるのに対して、会社都合退職の場合には、90日から330日です。

2、クビや解雇との違い

退職の方法には、依願退職以外にもさまざまな方法がありますので、自分がどの方法で退職するのかよく理解していない方もいるかもしれません。

以下では、依願退職以外の方法と依願退職との違いについて説明します。

  1. (1)自己都合退職

    依願退職と同様に自己都合退職に分類されるものとして、「辞職」があります。

    辞職とは、依願退職のように会社と労働者の合意によって労働契約を終了させる方法ではなく、労働者側からの一方的な意思表示によって労働契約を終了させる方法です。

    依願退職では、会社が承諾をしていなければ、いつでも退職の意思表示を撤回することができます。辞職の場合、退職の意思表示は会社に到達した時点でその効力が生じ、それ以降は退職の意思表示を「撤回」することはできません。

  2. (2)会社都合退職

    会社都合退職に分類される退職方法の代表的なものが「解雇」です

    解雇とは、労働者の勤務態度や成績が芳しくないなど労働契約を継続していくことが困難な事由が生じた場合に、会社側から一方的に労働契約を終了させる方法です。

    依願退職が労働者側からの意思表示であるのに対し、解雇は会社側からの意思表示であるという違いがあります。
    解雇は、会社都合退職として扱われ、前記の通り、失業保険の受給において待期期間が短いなど、労働者にとっては有利に扱われることになります。

3、会社に辞めるよう言われたのに依願退職扱いになっていたら

会社から仕事を辞めるよう促されて退職したにもかかわらず、依願退職(自己都合退職)扱いとなっていることがあります。このような場合にはどのように対処したらよいのでしょうか。

  1. (1)退職勧奨による退職は会社都合退職扱い

    会社が労働者に対して退職を促すことを退職勧奨といいます。

    退職勧奨に応じて会社を退職するかどうかは、労働者の自由な意思に委ねられています。したがって、退職勧奨に応じず、退職をしないという選択も可能です

    退職勧奨に応じて退職する場合には、自己都合退職ではなく会社都合退職となります。
    しかし、会社都合退職となった場合には、会社としては、助成金などの受給において不利になる可能性があります。
    したがって、会社都合退職ではなく依願退職(自己都合退職)という形で処理する会社も存在します。また、会社が労働者に対し、退職をしないと減給を伴う配置転換や業務の変更をするなど告げ、自主退職するよう促してくることもあります。

    どちらも退職をするという効果自体には変わりありませんが、労働者にとっては、失業保険の受給において自己都合退職となるか会社都合退職となるかで大きく変わります。
    そのため、労働者としては、離職票をよく見て、どのような退職理由かを必ず確認しましょう

    退職勧奨に応じて会社都合退職をしたにもかかわらず依願退職扱いとなっていた場合には、会社に対して退職理由の訂正を求めましょう。

  2. (2)諭旨退職であれば依願退職扱いでもOK

    「諭旨退職」とは、労働者が懲戒解雇に相当するような非行や不祥事を行った場合に、いきなり懲戒解雇をするのではなく、労働者が自ら退職するよう諭して、労働者から自発的に労働契約の終了を行う方法です。

    諭旨退職に応じて退職をする場合には、一般的に依願退職という扱いがとられます。

    退職勧奨では、懲戒事由には該当しないものの、能力不足などで辞めてもらいたい労働者に対して退職を促す方法であるのに対し、諭旨退職は、懲戒事由に該当する行為をした労働者に対して会社が温情措置として退職を促す方法です

    諭旨退職は、自己都合退職として扱われることになりますが、懲戒解雇ではないため、退職金も支給されますし、その後の転職でも不利になることはありません

    諭旨退職を受け入れない場合には、懲戒解雇となる可能性が高いため、懲戒事由に該当する行為をしたこと自体に争いがないケースでは、依願退職という扱いで退職をするのもひとつの方法といえるでしょう。

4、弁護士に相談したほうがよいタイミング

自らの意思によって依願退職をするのであれば、特に弁護士に相談をする必要はありません。しかし、会社から退職を促されて依願退職をする場合には注意が必要です。

会社から辞めるように言われたため、依願退職を選択する労働者がいます。
依願退職は、労働者側の事情によって退職する方法であるため、自己都合退職として扱われます。何も知らずに依願退職に応じてしまうと、失業保険の受給において不利な扱いを受けることになります

退職勧奨をしているにもかかわらず依願退職を求める会社は、意識的に会社都合退職ではなく、自主退職させることを目的としている可能性があり、労働者側から会社に退職理由の訂正を求めても容易に応じてくれないことがあります。

そのような場合には、弁護士が労働者の代理人として会社と交渉し、適切な退職理由に変更するよう交渉をすることが可能です。会社から退職勧奨を受けた際には、一度弁護士への相談を検討してみるとよいでしょう。

5、まとめ

依願退職は、結婚、転居、転職などキャリアアップやライフステージの変化に伴って選択される退職方法です。
しかし、会社側が労働者から不当解雇で訴えられるリスクを少なくするために、解雇やクビであるにもかかわらず、依願退職という形式をとることがあります。

会社側から辞めるように求められたとしても、労働者に辞める意思がないのであれば会社の要求に応じる必要はありません。解雇は、あくまでも最終的な手段ですので、正当な理由のない解雇は無効となります。
会社側から解雇もやむを得ないと言われたとしても、弁護士に依頼して解雇の無効を主張し、会社が解雇を撤回すれば、引き続き社員として働くことが可能になるかもしれません。

勤めている会社から退職を迫られた場合には、早めにベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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