仮想通貨投資で失敗して多額の借金! 債務整理の方法を新潟の弁護士が解説

2020年08月12日
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仮想通貨投資で失敗して多額の借金! 債務整理の方法を新潟の弁護士が解説

仮想通貨(※現在は暗号資産と呼ばれていますが本記事では仮想通貨と呼びます)の投資は、平成29年に急激に高騰し、これまで投資に縁がなかった方が多く市場に参加しました。平成30年には漁業関連の団体が、独自の仮想通貨の発行を検討していることも話題に上りました。ヒラメやカレイなどの漁業が盛んな新潟に無関係とはいえません。

仮想通貨投資は大きな利益が得られることや、革新的な技術で注目を集めていましたが、その反面投資に失敗して多額の借金を背負う方も少なくありません。
本記事では新潟の弁護士が、仮想通貨投資で失敗して多額の借金を背負った場合の債務整理の方法を解説します。多くの方が、陥りがちな失敗なども説明しますので、仮想通貨投資の借金でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

1、仮想通貨で借金をする過程とは

仮想通貨で借金を抱えてしまう原因は大きく分けて以下の4つです。

  1. (1)レバレッジ取引で追証が発生

    仮想通貨の取引は、実際の仮想通貨を購入、売却後の差額でキャピタルゲインを狙う現物取引が一般的です。また、「証拠金」を担保に、手持ちの資金の数倍の取引が可能なレバレッジ取引も人気があります。
    当然ですが、手持ちの現金の数倍の取引をすると、利益も大きいですが損失も大きくなります。損失額が大きく、取引所に預けている証拠金が足りなくなった場合は、「追証(おいしょう)」が発生し、追加で取引所に入金しなければなりません。
    このような事態が発生した場合に追証を用意できずに、消費者金融等で借金をしてしまうケースがあります。
    特に海外取引所は、数十倍のレバレッジをかけることができるため、追証の金額も大きくなってしまいます。追加で入金しなければ、保有している通貨を強制的に決済されてしまいますので、それを回避するためにお金を借りるケースもあるようです。

  2. (2)損失を減らすために「ナンピン」

    レバレッジ取引ではなくても、損失を軽減するために買値よりも低くなった通貨を購入する「ナンピン」によって借金をしてしまう方もいます
    100円で1枚購入した通貨が40円になってしまった場合、40円で2枚購入すると3枚の合計金額は180円となり、1枚の平均取得価格は60円です。40円から60円に上昇したときに売却すれば損失はゼロになるという計算です。
    40円まで下落した通貨が100円まで戻るのは不可能のように思えますが60円であればなんとかなるのではと考えて、下落した価格で購入するのがナンピンです。ナンピンが成功すれば問題ないのですが、仮想通貨は平成29年の急騰以降下落が続き、低い価格帯で停滞している状態です。下落の最中でナンピンした場合は、ナンピンした価格すらも割り込んでしまい損失が拡大することになります。また、今後の上昇も不透明です。
    現金でナンピンしている場合は問題ありませんが、手持ちの現金がなくなり、借金をしてナンピンしてしまった方は、通貨をすべて売却、返済しても元本にとどかず、借金の返済のみに追われることになってしまいます。借金をしなくても、クレジットカード取引が可能な海外取引所で、限度額いっぱいまでナンピンしてしまうこともあります

  3. (3)そもそも借金をして取引をスタートした

    仮想通貨取引自体を、手持ちの現金ではなく借金をしたお金でスタートすることもあります。上昇すれば全額返済できると考えて、お金を借りて取引をしたものの、急激な下落に巻き込まれてコインの価格は買値の半分以下、売却しても借金だけが残るというケースも少なくありません。
    仮想通貨の中には、新規事業のために通貨を発行し購入者を募るICOによって流通したものもあります。ICOコインの多くは価格の下落が激しく、当初の10分の1以下になってしまったものも多数あります。これらのコインを購入してしても、手元にはほとんど価値がないコインと借金だけが残るということになります。

  4. (4)納税資金を確保せずに仮想通貨価格が下落した

    平成29年の仮想通貨市場の急上昇により、数千万円から1億円単位の利益を出した通称「億り人(おくりびと)」と呼ばれるような個人投資家が続出しました。ところが、その後年をまたいで仮想通貨市場は急激に下落、利益を確定できない投資家が続出しました。利益を確定できていないにもかかわらず、前年度の利益に累進課税の高い税率の所得税がかけられますので、場合によっては数千万円もの納税義務を負うことになります。
    このため手元には利益が一切ないのに、納税の義務だけを負った投資家が続出しました。彼らの一部は納税のためにお金を借りるケースもありました。

2、仮想通貨でできた借金でも債務整理は可能?

仮想通貨投資自体は自己責任とは言え、多額の借金は生活を圧迫し精神をむしばみます。そこで検討するのが債務整理です。では、仮想通貨を通してできた借金は債務整理の対象となるのでしょうか。
結論から申し上げると、仮想通貨の借金でも債務整理の対象は不可能ではないと考えます。債務整理の種類にもよりますが、任意整理や過払い金請求であれば、難しくはありません。裁判所を通して行う個人再生や自己破産についても、状況によっては認められます。自己破産においては、過去7年以内に一度免責許可がでている方や、ギャンブルで借金をした方、などは認められにくい傾向ではありますが、過去に自己破産の履歴がなく、借金の原因がギャンブルでなければ、認められる可能性があると考えて良いでしょう。

仮想通貨取引が原因の借金だからと諦めずに、債務整理の可能性を探るべきです。債務整理で月々の返済負担を減らす、もしくは借金がゼロになれば、新たに人生をやり直すことができます。

3、債務整理の4つの種類

債務整理には以下の4種類があります。どの手続きも、個人の信用情報機関に債務整理の情報が掲載されてしまい、5年間は新たな借金やクレジットカードの契約が難しくなるものの、借金の返済負担は大幅に減少します。

  1. (1)過払い金請求

    仮想通貨取引を開始する前から借金をしており、仮想通貨によって借金が増えてしまったという方は、過払い金が発生している可能性があります。過払い金とは、グレーゾーン金利と呼ばれる金利で、消費者金融や信販会社からお金を借りていた方が、法定利率よりも支払いすぎた利息のことです
    法定利率を上回って支払った分は業者に返済を求めれば取り戻すことができます。場合によっては現在の借金を上回る過払い金が発生していることもありますので、借金の返済が長期間続いている方は、弁護士などへ相談をおすすめします。具体的には平成22年6月17日以前に借り入れをスタートした方は、過払い金が発生している可能性があります。

  2. (2)任意整理

    任意整理とは貸金業者と借りた側が話し合うことにより、将来の利息をカットしたり返済期間を延ばしたりする手続きです。任意整理では、月々の返済金額が少なくなるため返済負担が軽減します。すべての貸金業者ではなく、一部の貸金業者の分だけ整理することも可能です。

  3. (3)個人再生

    個人再生とは、裁判所に申し立てて借金の返済負担を軽減する手続きを指します。5年以内で毎月負担なく返済できるように借金を圧縮します。任意整理とは異なり、裁判所を通じて行う手続きですので、すべての債務が対象です。個人再生のためには、さまざまな書類を用意して裁判所に個人再生の申し立てを行わなければなりません。

  4. (4)自己破産

    自己破産とは、借金をまったく返済せずに済むようになる手続きです。裁判所に申し立てて、認められればすべての借金や債務の返済が免除されます。そのためには、裁判所から「免責許可」を受けなければなりません。先ほど説明したように、ギャンブルでの借金や前回の自己破産から7年以内の自己破産の申し立ては、免責許可がおりにくい傾向にあります
    仮想通貨の場合は、株式投資と同様に初回であれば認められると考えられます。ただし、仮想通貨取引での利益に対して発生する所得税などの「税金」は自己破産をしても、支払い義務を免れることはできません。

4、債務整理を弁護士に依頼するメリットとは

債務整理を弁護士に依頼するメリットは以下の4つであると考えます。

  • 債務整理が成功する確率が高くなる
  • 債務整理の煩雑な手続きをすべて任せることができる
  • 自分にとって最適な債務整理の方法を判断してもらえる
  • 貸金業者等からの督促がなくなり、一時的に返済する必要もなくなる


債務整理にはさまざまな法的手続きが求められますので、弁護士への依頼が望ましいでしょう。弁護士であれば、借金の金額の大小を問わず、任意整理から自己破産まですべての手続きが対応可能です。また、自分にあった債務整理方法はどれなのかも適切にアドバイスしてもらえるでしょう。

これらのメリットも大きいのですが、多くの方が感じられるのが、「借金からの解放」です。実際には、弁護士に依頼しただけでは借金の返済義務が消えるわけではありません。しかし、弁護士に依頼することで、弁護士が貸金業者等に受任通知をして業者が受け取った時点で、借金に関する窓口は弁護士に一本化されます。債務整理が完了するまでは貸金業者と連絡を取り合ったり、借金を返済する必要はありません。借金の返済に追われていた方にとっては、このメリットが非常に大きく、多くの方が「弁護士に依頼して良かった」とおっしゃいます。

5、まとめ

仮想通貨投資をはじめとして、さまざまな投資はリターンとともにリスクをはらんでいます。その結果、借金を背負うことになることも少なくありません。仮想通貨投資で借金をしてしまった場合、いずれかの債務整理ができる可能性がありますので、借金の返済に苦しんでいる方は、まずは弁護士に債務整理について相談してみましょう。ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスでは、仮想通貨での借金についてのご相談やご依頼を常時受付けておりますのでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています