不倫相手との別れ話がもつれて脅迫されている! 対処方法はある?
- 慰謝料
- 不倫相手
- 脅迫
新潟県の平成30年・人口動態調査によると、離婚件数は2814組、離婚率1.26でした。新潟は、「日本でもっとも離婚の少ない都道府県」になったのです。しかし、年間にこれだけの夫婦が離婚しているというのも事実です。なかには不倫が配偶者の知るところとなり、離婚に至ったケースがあるかもしれません。
多くのケースにおいて、不倫関係はいずれなんらかの結末を迎えるでしょう。お互いの意思で関係を解消することもあれば、結婚に至ることもあるかもしれません。
ところが、別れを切り出したところ不倫相手が逆上してしまい「別れるなら会社や家族にバラす」と脅されてしまうケースも少なくありません。できるだけ大ごとにはしたくないと思い、穏便な話し合いを求めても聞く耳をもってくれない場合、どうしたら良いのでしょうか。
もし、不倫相手との別れ話がもつれてしまい「会社や家族にバラす」などの脅迫を受けたり、根も葉もない理由で慰謝料を請求されたりした場合、法的な対応はとれるのでしょうか。新潟オフィスの弁護士が解説します。
1、不倫相手から慰謝料請求を受けたら支払う必要はある?
不倫相手に別れを告げると、逆上した相手から「別れるなら慰謝料を請求する」と言われてしまうことがあります。不倫は良くないことだという意識はあっても、不倫相手に慰謝料を支払う必要があるのかと疑問に感じるでしょう。
不倫相手から慰謝料請求を受けた場合、支払い義務が生じるのでしょうか?
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(1)慰謝料とは?
慰謝料とは、他者の不法行為によって負った精神的損害などに対する賠償金を指します。
たとえば、夫の不倫が発覚して夫婦が離婚に至った場合、妻は夫の不貞を不法行為ととらえて慰謝料請求することができます。 -
(2)「不倫関係の解消」が慰謝料請求の理由になるのか?
夫婦関係を解消する、つまり離婚するケースでは、不貞行為があった一方に対して慰謝料を請求するケースは少なくありません。
ただし、不倫関係を解消する場合は、通常の男女の別れと相違ありません。そのため、不倫相手に対する不法行為があったと考える必要はないでしょう。
ただし、自らが既婚者であることを積極的に隠して不倫関係を続けていたような場合は、貞操権の侵害を理由に慰謝料請求が認められるケースがあります。
2、脅迫・慰謝料請求を受けた場合の対処法
不倫相手に別れを告げたところ、相手が逆上して脅迫行為や慰謝料請求を受けた場合はどのように対処すれば良いのでしょうか?
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(1)まずは冷静な話し合いを求める
逆上した相手を無視する、こちらもエキサイトして言い合いになってしまうなどは得策ではありません。まずはお互いが冷静になって、話し合いの機会を設けるべきでしょう。
なぜ不倫関係を解消するのかを丁寧かつ誠実に説明して納得が得られれば、トラブルが解決するかもしれません。 -
(2)弁護士に交渉を依頼する
脅迫行為やいわれのない慰謝料請求を受けている場合は、弁護士に交渉を依頼するのが得策です。
案件を受任した弁護士は、まず相手方に代理人であることを告げて今後はすべて代理人あてに連絡するよう伝えます。相手からのわずらわしい電話・メールなどの攻撃を止めたいときは、弁護士への依頼が有効でしょう。
不倫相手も、相手が本人ではなく弁護士であれば冷静な話し合いに応じてくれる可能性があります。
また、不倫相手に脅迫などの違法行為があれば事件化するおそれを示唆して行為をやめさせる、慰謝料などの金銭支払いを求められた場合は「不倫相手のあなたこそ、こちらの配偶者から慰謝料を請求されるおそれがある」など、法的根拠に基づき相手を説得することができます。
個人で対処するよりも弁護士に一任したほうがトラブル解消の期待が高まるので、重篤な事態に陥ってしまう前に、まずは弁護士に相談するのが賢明です。 -
(3)必ず書面を残す
冷静に話し合いができた場合でも、弁護士を代理人として交渉して和解した場合でも、話し合ってお互いが納得した内容については書面に残すことが大切です。
男女問題は、言った言わないのトラブルが再熱することも少なくありません。
お互いが納得して和解したという証拠になるだけでなく、相手をけん制するための抑止力としても効果が期待できます。
3、脅迫や無法な請求行為がエスカレートした場合は?
不倫相手から脅迫や根も葉もない理由をつけられて慰謝料などの金銭要求を受けているケースでは、次第に相手の行動がエスカレートすることも少なくありません。
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(1)警察に相談して事件化してもらう
相手の行為がエスカレートした場合、警察への相談も検討しましょう。
逆上した不倫相手の行動によっては、法律に照らしたときに次のような犯罪に該当する可能性があります。
●脅迫罪
「不倫関係を会社や家族にバラす」などと告げる行為は、害悪の告知に該当するため脅迫罪が成立する可能性があります。直接告げられた場合だけでなく、電話・メール・メッセージアプリなどを使った場合も同様です。
●恐喝罪
暴行・脅迫を用いて慰謝料などの金銭を支払わされた場合は、恐喝罪が成立します。たとえば、「不倫関係をバラされたくなければ慰謝料を払え」などの脅迫によって金銭を支払った場合は恐喝罪となり、まだ支払っていない段階でも恐喝未遂となります。
●名誉毀損(きそん)罪
「◯◯さんは不倫をしている」と貼り紙を掲示された、SNSや掲示板で公開されたなどのケースでは、名誉毀損罪が成立する可能性があります。名誉毀損罪については、公開された内容の真偽は問われないので、不倫関係を公表されたケースだけでなく、腹いせに根も葉もない誹謗中傷を公表された場合も罪に問える可能性があるでしょう。
●ストーカー規制法違反
不倫関係を解消したことで怨恨(えんこん)の対象となり、まちぶせや電話・メールなどによるしつこい面会要求などを受けている場合は、ストーカー規制法違反になる可能性があります。 -
(2)事件化のために心得ておきたいポイント
強迫行為やつきまとい、金銭要求などがあれば、それらの行為は犯罪に該当する可能性があります。相手の行動がエスカレートしてしまった場合は、事件化することで相手をけん制する材料となるでしょう。
ただし、事件化することが必ずしも不倫相手への抑止力になるとは限りません。事件化したことによって、相手をさらに逆上させてしまうリスクも否定できないからです。単に「バラされたくない」というだけでなく、生命や身体、社会的な信用などに具体的な危険が生じるおそれがあるのかを慎重に判断する必要があるでしょう。
また、事件化する際は被害を証明する証拠をできる限りそろえておくべきです。
電話の着信履歴、メールやメッセージ、話し合いの内容を録音したものなど、脅迫や恐喝、ストーカー規制法違反の証拠を収集しておきましょう。
4、家族や会社にバレたくない場合は?
不倫相手に別れを告げたことでトラブルになっている方がもっとも心配しているのは、不倫相手が暴走して本当に家族や会社に不倫関係をバラしてしまうことでしょう。
なんとしてでも阻止したいと考えるのが当然ですが、不倫関係を家族や会社にバラされないためにはどのような対処をするべきなのでしょうか?
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(1)「絶対にバレないための方法」は存在しない
まず心得ておくべきは「絶対にバレないための方法」は存在しないことです。
別れを告げたことで、すでに不倫相手は冷静な判断を失っているおそれがあります。
逆上してしまった不倫相手は、法の定めに背いてでも関係修復や報復を望んで暴走する危険があります。
たとえ弁護士に依頼しても、絶対にバレないとは断言できないことは心得ておくべきでしょう。 -
(2)誠意ある対応が大切
不倫相手が自暴自棄になって家族や会社に不倫関係をバラしてしまわないためには、誠意ある対応が大切です。
たとえ弁護士が代理人になっているとしても、不倫相手は本人にコンタクトを求めるおそれがあります。このような状況のなかで、不倫相手に「これ以上近づいてくるなら訴えるぞ」などと感情的な言葉を投げかけていると、不倫相手の暴走はさらに加速する可能性があります。
冷静で誠意ある対応を心がけながら、すぐに弁護士に連絡してアドバイスを受けるのが賢明です。
5、まとめ
不倫相手に別れを告げたところ「家族にバラす」などと脅されたとしても、慰謝料の請求に応じる必要はありません。結婚していることを隠して交際していたなどのケースを除けば、不倫相手からの慰謝料請求には応じる義務はないからです。
ただし、強気の対応をとっていれば不倫相手が逆上してしまい、本当に家族や会社にバラしてしまう、ストーカー化するなど、不利益な行動に走ってしまうリスクがあります。
どのような関係であったとしても、一度はお互いのことを大切に思ったはずです。誠意ある対応、行動で相手に理解を求めつつ、弁護士に相談してアドバイスを受け、代理人として冷静な交渉をすすめてもらうべきでしょう。
不倫相手から脅迫や慰謝料請求を受けてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでご相談ください。男女トラブルの対応実績を豊富にもつ弁護士が、あなたの代理人として交渉し、不倫相手の暴走を抑えて問題の解決を目指します。
家族・会社に不倫関係がバレてしまう事態や、不当な慰謝料請求を回避したいと望んでいるのであれば、ひとりで悩まずベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでご一報ください。
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