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損害賠償請求できるのはどんなケース? 被害例や請求方法を弁護士が解説

2019年03月13日
  • 一般民事
  • 損害賠償請求
損害賠償請求できるのはどんなケース? 被害例や請求方法を弁護士が解説

新潟県では、平成28年の1年間で、1万4149件の刑法犯(殺人、暴行、窃盗、わいせつなど刑事事件の犯人)が認知(うち検挙は6154件)されています。

平成25年から28年までの4年間においては犯罪数が減少傾向にあるものの、誰がいつ被害者となってもおかしくない状況であることに変わりはありません。

犯罪により被害を受けた場合、相手に対して損害賠償請求をすることができます。また、不倫や婚約破棄など民事上の不法行為によって受けた苦痛に対しても同様です。

今回は、「そもそも損害賠償請求とは何なのか」をご説明したうえで、被害を受けてしまった場合の「損害賠償請求の方法」について、新潟オフィスの弁護士が解説します。

出典:「新潟県統計年鑑 2017(司法・警察)」(新潟県庁)

1、損害賠償請求とは?

損害賠償請求とは、他人によって損害を与えられた場合に、損害を受けた人(被害者)が、その損害についての補償(原則として金銭での弁償)を求めることです。

損害賠償請求は、相手方に「債務不履行」や「不法行為」があった場合にすることができます。債務不履行にもとづく損害賠償請求と不法行為にもとづく損害賠償請求では、請求できる期間制限などに違いがあります。

  1. (1)損害賠償請求できるケース1:債務不履行があったとき

    債務不履行とは、相手が約束どおりの義務を果たさないことをいいます。たとえば、「期日までにお金を支払わない」「約束の日までに商品を届けない」などが債務不履行にあたり、損害を受けた人は損害賠償請求をすることができるのです。

    ただし、相手方に故意(わざとすること)も過失(ミスや不注意)がない場合、債務不履行にもとづく損害賠償責任は発生しません(お金の支払い債務については相手方の故意や過失がなくても損害賠償請求できるとされています)。

    債務不履行にもとづく損害賠償請求権は、後述する不法行為にもとづく損害賠償請求とは異なり、相手との「契約」関係があることを前提に発生する権利となります。

  2. (2)損害賠償請求できるケース2:不法行為があったとき

    ある者(加害者)の違法な行為によって損害を与えられた場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることができます。

    不法行為が成立するためには「行為者の故意または過失があること」「行為が違法であること」「行為と損害との間に因果関係(その行為によって損害を受けたといえること)があること」「行為者に責任能力があること」が必要です。

    よくある不法行為の例としては、暴行や痴漢、窃盗、不倫などが挙げられます。

    余談となりますが、「不法行為と犯罪はどう違うの?」と思われるかも知れませんのでご説明します。犯罪というのは刑事上の概念のことで、刑罰(懲役など)による制裁が必要なものをいいます。犯罪の効果が「刑罰」という「国(警察・検察・裁判所)と個人」の関係となるのに対し、不法行為の効果は「加害者から被害者への賠償(お金の支払い)」です。こちらは「個人と個人」の関係といえるでしょう。

    たとえば、不倫は不法行為ではありますが犯罪ではないため(夫婦間での問題ですから、国家からの罰は受けません)、相手への慰謝料請求など民事上の手続きで解決することになります。一方、暴行や痴漢は犯罪でもあり不法行為でもあります。つまり、加害者は、裁判など刑事上の手続きで責任を問われるほか、民事上でも被害者から損害賠償請求を受けることがあるのです。

    以下では、不法行為にもとづく損害賠償請求をメインにご紹介します。

2、どのようなときに損害賠償請求できるのか?

損害賠償請求をする権利は、具体的にどのようなときに発生するのでしょう?

  1. (1)暴行を受けたとき

    相手から殴られたときや蹴飛ばされたとき、水をかけられたときなどには不法行為が成立し、損害賠償請求ができると考えられます。この場合には、暴行によるケガの治療費や、ケガによって仕事を休まざるを得なくなった場合の休業損害、慰謝料を請求することができます。慰謝料というのは、損害賠償のうち、受けた精神的苦痛に対して支払われるお金のことです。

    治療費や交通費、休業損害に関しては、実際に支払った金額や損失が発生した金額が損害として認められることが多く、慰謝料については、ケガの程度によって金額が大きく変わってきます。後遺症がある場合などにはより高額な慰謝料が認められるのが一般的です。

  2. (2)痴漢にあったとき

    痴漢は不法行為ですから、痴漢にあったときには損害賠償請求をすることができます。この場合の請求内容は慰謝料請求がメインとなるでしょう。

  3. (3)物を盗まれたとき、詐欺にあったとき

    窃盗や詐欺など、財産被害にあったときにも不法行為にもとづく損害賠償請求をすることができます。この場合に請求できるのは、物の時価や慰謝料などです。

  4. (4)不倫されたとき

    配偶者の不倫は、配偶者とその不倫相手との共同不法行為となりますので、損害賠償請求(慰謝料請求)をすることができます。この場合の慰謝料請求は、不倫相手と配偶者のどちらに対しても行えます。

  5. (5)婚約破棄されたとき

    婚約の不当な破棄に対しても不法行為にもとづく損害賠償請求(慰謝料請求)をすることができます。

    このほか、タクシー事故で乗客がケガをした場合のように、(運送契約などの)「債務不履行責任」と「不法行為責任」の両方の要件を満たすケースも考えられます。

    ご紹介したほかにも、損害賠償請求権は非常に多くの場面で発生します。被害に遭われ損害賠償請求が可能かどうかお悩みの場合には、お気軽に弁護士にご相談ください。

3、損害賠償請求の方法や注意点

損害賠償請求の進め方や注意点をご紹介します。暴行によりケガをした場合の損害賠償請求を例にとってみていきましょう。

  1. (1)暴行被害にあってしまったら

    他人から殴る・蹴るなどの暴力を振るわれてケガをした場合、まずは病院に行って治療を受け診断書を作成してもらいましょう。ご自身の身体を守るためなのはもちろん、時間がたってからではケガの状況や程度がわかりづらくなってしまうからです。その後にどのような手段を選択するとしても、診断書は重要な証拠となり得ます。

    そのうえで被害者ができることとしては、「刑事事件として加害者を逮捕・処罰してもらう」「民事事件として加害者に損害賠償請求(治療費や慰謝料の請求)をする」の2つがあります。手続きは別ですが、これら2つは並行して行うことができます。

    加害者が特定できていない(知らない相手から暴力を振るわれ、加害者が逃走したなど)状況では請求することが不可能ですので、そのような場合にはまず、警察署に届け出て加害者を特定(逮捕)してもらわなければなりません。

  2. (2)損害賠償請求の方法と時期

    損害賠償請求の方法は以下の3種類です。

    • 示談交渉(話し合いによる和解)による請求
    • 調停による請求
    • 訴訟(裁判)による請求


    どの方法を選ぶのかは被害者の自由です。加害者が友人や知人といったケースや加害者に謝罪意思があるケースでは示談(裁判をせず、話し合いで解決すること)が向いていると考えられますし、加害者が話し合いに応じないなどの場合には訴訟が向いていると考えられます。

    刑事事件として加害者が逮捕されている場合には、加害者側の弁護士が示談交渉をしてくることも多くあります。ただし、示談が成立すると加害者が処罰されなくなる可能性もあるため、処罰を望んでいるのであれば注意が必要です。

    一方で、示談を成立させるのであれば、早い時期に行うことをおすすめします。

    加害者が逮捕された場合、逮捕から23日以内に起訴されるか否かが決まるため、加害者側からすると、起訴される前に示談を成立させたいと考えているからです。つまり、加害者が「起訴されて前科をつけたくない」と考えている段階での示談交渉のほうが、希望の示談金を受け取れる可能性が高いといえるのです。

  3. (3)示談交渉の流れ

    暴行に対する損害賠償請求の方法として多く用いられるのが示談交渉ですので、示談交渉における一般的な流れをご紹介します。

    まずは暴行された旨を警察署に届け出ましょう(被害届の提出)。被害届を出さずに損害賠償請求のみをすることも可能なのですが、一般的には被害届を出すことで加害者が積極的に交渉に応じるようになります。

    その後、通常は加害者側の弁護士から示談の申し出があり、交渉が始まります。示談金(加害行為の全面的な解決のために支払われる当事者間で決めた額の金銭)や条件に双方が合意したら示談成立です。

4、損害賠償請求で弁護士ができること

裁判によって損害賠償請求をする際は、適切な訴訟活動をしないと裁判所からの支払い命令を出してもらえない可能性があります。弁護士が損害の内容や証拠を効果的に主張することで、損害に対する適切な賠償を受けられる可能性が高くなるといえるでしょう。

また、交渉による請求の場合であっても弁護士に依頼することをおすすめします。加害者、あるいは加害者側の弁護士との交渉はすべて弁護士が行うので、ストレスや日常生活への支障が軽減されますし、自身で交渉を行う場合と比較して高額な賠償金を受け取れる可能性が高いといえます。

被害者自身で損害賠償請求を行っている段階では不誠実な対応をしている加害者であっても、被害者に弁護士が付くことで対応が変わることが多くあるものです。

5、まとめ

今回は、さまざまな被害にあった場合の損害賠償請求についてご紹介しました。

暴行や痴漢などの被害者は身心ともに大きなダメージを受けています。そのような状況のなか、自らの意思だけで法的に適切な行動をとることは困難といえるでしょう。

ベリーベスト法律事務所では、個別の状況に合わせたアドバイスや提案を行っています。無料相談も行っておりますので、おひとりで苦しまず、お気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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