借金をなくす方法はある? 4つの手段とそれぞれに適した状態を弁護士が解説
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平成30年7月、新潟県新潟市の男性が、「家族の借金を返済するため」と当時17歳の子どもを脅し、みだらな行為をしたとして児童福祉法違反の疑いで逮捕されたという報道がありました。
借金のカタ、という言葉を耳にすることがあります。しかし、子どもを差し出したことが事実であれば、決してあってはならない出来事です。許されない行為ではありますが、借金問題はそれほど人間の頭をむしばんでしまう、当事者にとっては非常に苦しい問題であることも、否定できない事実ではあります。
しかし、そのようなことをしなくても、法律にのっとった手続きを行い、借金をなくす方法があるのです。ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が、借金をなくす債務整理の方法について解説します。借金問題で苦しんでいる方は、ぜひ目を通して早く肩の荷を下ろしましょう。
1、借金をなくす4つの手段
現在、借金をなくす方法は大きく分けると4種類存在します。「過払い金請求」、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」です。どの方法も状況によっては、借金を減額、もしくはゼロにできる可能性があります。
「過払い金請求」は、過去に支払いすぎた利息を請求して、返してもらうことです。
「任意整理」は利息の引き直しなどで元本のみの返済とし、返済負担額を圧縮します。
「個人再生」は、住宅や自動車などの財産を残しながら、借金を返済可能な額に減額します。「自己破産」とは、借金をゼロにすることができる債務整理です。
どの方法にもメリットデメリットがありますし、人によってベストな方法が異なります。自己判断せず、弁護士に相談して現状を把握してもらった上で、最適な方法を選択するとよいでしょう。
個人で債務整理を行うこともできますが、専門知識が必要ですし書類をそろえるだけでも手間がかかります。弁護士に一任することをおすすめします。
2、過払い金請求とは? メリットデメリットとやるべき人
過払い金請求とは、過去に支払いすぎた利息を請求することです。具体的には平成22年6月18日以前に借りた借金については、法律の上限を超える違法な金利「グレーゾーン金利」が適用されているため、「法定金利との差額の利息」の返還を求めることができる可能性が高いです。
過払い金請求のメリットは、借金を完済もしくは大幅に減額できる可能性がある点です。過払い金が発生するケースは、10年以上前に借り入れをしている場合がほとんどです。すでに完済している場合でも、過払い金を請求することで払いすぎたお金が戻ってくることがあります。しかも、完済したあとであれば、過払い金請求を行っても信用情報に記録は残りません。現在も返済を続けているケースであれば、過払い金によって元本まで減額できる可能性があります。あきらめず、相談してみることをおすすめします。
なお、弁護士であれば、「借入先」と「借金をしたときの住所」さえわかれば、詳しい借入金額や返済日時などがわからなくても、調べることができます。あなた自身は一切手間をかけず、過払い金を請求することができます。
過払い金請求のデメリットは、ほとんどないと考えられます。下記に該当する場合は弁護士に相談することをおすすめします。
- 10年以上前から借金を続けている
- 10年以上前に借金をしたが、現在から10年以内に完済している
ベリーベスト法律事務所には、1ヶ月間に21億円強の過払い金を回収した実績があります。まずは相談してください。
3、任意整理とは? メリットデメリットとやるべき人
「任意整理」とは、借金開始時にさかのぼって支払いすぎた金利を計算して元本から差し引き、さらに、今後の利息をカットして元本のみを3年程度の分割払いで返済する手続きです。
原則、貸金業者と直接交渉を行い、和解契約を結ぶことになります。和解した内容で返済が終われば、晴れて借金から解放されることになります。
任意整理を選択するメリットは、裁判などの法的措置を取らず、貸金業者との話し合いで解決できる点です。個人再生や自己破産のように官報に名前が掲載されることもありません。裁判所を介する必要がないため、弁護士に依頼していれば、仕事を休むことなく手続きを進めることができます。
また、弁護士が債権者に受任通知を送付し、受任通知が債権者に届いた時点で一時的に借金を返済する必要がなくなります。窓口が弁護士となることもあり、直接督促されることもありません。借金のストレスから一時的に解放される点を大きなメリットに感じる方もいるかもしれません。
もうひとつのメリットとして、債務整理を行う相手を選べる点にあります。たとえば、「消費者金融の債務は任意整理を行う」が、「親戚が保証人になっている奨学金に対しては債務整理をしない」、という選択が可能です。このあと解説する個人再生や自己破産では、「特定の借金だけを整理しない」という選択肢を取ることができません。
もちろんデメリットもあります。信用情報機関に、任意整理を行ったという情報が登録されてしまうという点です。信用情報機関に任意整理を行った情報が登録されると、5年間は新規の借り入れやクレジットカードの契約、住宅ローンの契約などが難しくなることがあります。将来的に家や車をローンで購入する計画がある場合は、慎重に検討したほうがよいでしょう。
また、支払いすぎた利息(過払い金)がない場合は、借金そのものの減額が大幅にはできません。期待するほど減額できなくても、将来の利息や遅延損害金をカットする交渉は可能です。つまり、何もしないよりは借金の負担は小さくなると考えられます。
任意整理をおすすめするケースは以下のとおりです。
- 10年以上前から借金をしている
- 利息さえカットできれば、無理なく返済できる
- 特定の借金だけ支払う額を減額したい
ただし、任意整理は、過払い金がなければ元本が減ることはほとんどありません。そのほかの債務整理ほど大幅に減額することができないため、高額な借金を背負っている人、多重債務者には有効な債務整理とはいえないケースもあります。まずは弁護士に相談することをおすすめします。
4、個人再生とは? メリットデメリットとやるべき人
個人再生とは、裁判所を通じて借金を減額する手続きです。任意整理は貸金業者との任意の話し合いでしたが、個人再生は裁判所を通じて行うものです。当然、個人で行おうとすれば、手続きの難易度は上がります。
しかし、裁判所で個人再生が認められれば、原則として借金は5分の1程度に減額されて、3年から5年で完済可能です。
個人再生のメリットは返済が楽になること、そして住宅を手放す必要がないことです。現在の生活を維持しながら、無理なく借金を返済できるので、スムーズに生活を立て直すことができます。またギャンブルが原因の借金でも、認められるのも大きなメリットです。
個人再生のデメリットは、信用情報機関に個人再生したことが登録されるため、新規の借金やクレジットカードの契約ができなくなる点が挙げられます。各信用情報機関によって異なりますが、短いものでも5年、長い場合は10年間も登録されることになるでしょう。
また、裁判所を通じて行う手続きとなるため、個人再生が認められたら「官報」に掲載されてしまいます。官報を毎日閲覧する一般の方は多くないため、それほど心配する必要はありませんが、官報を定期的に閲覧する可能性がある企業に勤めている場合は、個人再生をした事実が知られてしまうリスクはあります。
個人再生をやるべきケースは以下の方です。
- 住宅や車を手放したくない方
- ギャンブルが原因の借金を抱えている方
- 自己破産をすると職を失う方
- 継続した収入がある方
これらに該当しなくても、多額の借金を抱えている方や多重債務で苦しんでいる方は、大幅に借金を減額できる可能性があります。ただし、前提として継続した支払い能力が求められるため、無収入で借金を減額したい方は個人再生が認められないこともあるでしょう。まずは、債務整理に対応した経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
5、自己破産とは? メリットデメリットとやるべき人
自己破産とは、裁判所で借金をすべて免除してもらう手続きです。裁判所で支払いが不可能であること、そして免除することができる借金であることが認められると、すべての借金を返済する必要はなくなります。
自己破産のメリットは、収入がなくても申し立てができることと、一切返済する義務がなくなることです。また、生活に必要な家財や最低限の財産については手元に残すことができるのもメリットです。
ただし、自己破産の際は裁判所の基準を超える財産を手放す必要があるため、家や車を失う可能性があります。また、ギャンブルなどが原因の借金は自己破産の対象とならない点もデメリットです。
また、信用情報機関に5年から10年間登録されてしまうので、借金やクレジットカードの契約は不可能となります。また、自己破産したことが官報に掲載されることもデメリットといえるでしょう。さらに、生命保険募集人や警備員、士業など、特定の職業に一定期間就くことができなくなります。
自己破産を受けるべき方は以下のとおりです。
- 無収入で借金の返済が不可能な方
- 大幅減額を希望していて、住宅や自動車を持っていない方
- 借金の原因がギャンブルではない方
6、まとめ
債務整理にはさまざまな方法がありますし、場合によっては借金をゼロにすることもできます。どの方法があなたにとってベストなのか、わからないこともあるでしょう。多重債務に苦しんでいる方、長年借金の返済に追われている方は、一度借金問題に精通した弁護士に、適切な対応を相談することをおすすめします。
ひとりで抱えこんで悩んでいても、事態は解決しません。債務整理に対応した経験が豊富な弁護士に相談することで、光が見えるケースが多いものです。任意整理を依頼するだけで、貸金業者の督促や返済から解放されて、心おだやかに生活できるようになります。ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスでもアドバイスを行います。お気軽にご相談ください。
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