警察に呼び出されたらどうすればよい? 取り調べの様子や内容を解説

2019年11月27日
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警察に呼び出されたらどうすればよい? 取り調べの様子や内容を解説

警察に犯罪が認知されると、呼び出し(任意同行・任意出頭)を受けたり逮捕されたりします。そして、警察や検察で取り調べが行われるのが通常の流れです。新潟県の公表する主要指標によれば、平成30年の刑法犯認知件数は1万1137件、そのうち検挙件数は5527件でした。平均すると1日あたり15件以上もの検挙が行われており、相応の取り調べが行われていることになります。

本コラムでは、警察から呼び出しを受け、取り調べが予想される場合の対処の仕方や取り調べの様子、内容などについて新潟オフィスの弁護士が解説します。

1、呼び出しと取り調べ

  1. (1)取り調べでは何をされるのか

    何か事件が起き、その被疑者や参考人と目された場合、警察から呼び出しを受けることがあります。呼び出しに応じて警察署に出頭すると、取り調べが行われることになるでしょう。

    取り調べにおいては、警察官が事件に関するさまざまな事柄を聞いたり確認したりしてきます。これは犯人だと思われている被疑者となっているケースでも、参考人(犯人の知人や目撃者など)の場合でも変わりません。

  2. (2)任意の取り調べと強制の取り調べ

    取り調べは、大きく分けてふたつあります。任意捜査としての取り調べと、強制捜査としての取り調べです。

    逮捕という措置を受けず、警察から呼び出しを受けた場合、あくまでも求められているのは任意出頭です。したがって、その後に行われる取り調べも任意の捜査となります。任意とは、受けるかどうかが本人の意思に任せられているという意味です。

    つまり、ただ呼び出しを受けた段階では、それに応じるかどうかは自由であり、拒否することもできますし、呼び出しに応じたとしてもいつでも退去できます(刑事訴訟法第198条第1項)。

    これに対して、現行犯逮捕をされていたり、逮捕状の発行を伴う逮捕をされたり、任意出頭後に逮捕された場合には、強制捜査としての取り調べとなります。したがって、基本的に拒むことはできません。

    なお、たとえ任意の取り調べの連絡を受けている状態であっても、取り調べそのものを拒否するなど、非協力的な状態を続けていれば逮捕状が出て身柄が拘束されるおそれがあります。

2、取り調べの場所や時間

  1. (1)取り調べはどこで行われるか

    取り調べは、基本的に警察署内の取調べ室で行われます。犯罪捜査規範という規則に、取調べ室の利用を前提とする記述があります(犯罪捜査規範第182条の2・第182条の3)。たとえば、病気で移動できないなどの例外的事情がない限り、取調べ室が用いられることになっているのです。

    取調べ室は数名が入れる程度の小部屋で、出入り口はひとつ、中には机と椅子が置いてあります。机の上には電話が置かれていますが、凶器として用いられるのを防ぐため電気スタンドなどは設置されていません。

    なお、ドラマなどでは薄暗く圧迫感のある部屋として描かれることが多い取調べ室ですが、実際にはそこまで重苦しいものではありません。ただし、プライバシーへの配慮や事故防止のため窓がないので、人によっては閉塞(へいそく)感を覚えることがあるでしょう。

  2. (2)取り調べの時間

    1回の取り調べにかかる時間は、よほど難解な事件の場合や被疑者が犯行を否認している場合でなければ、2~3時間ほどです。しかし、事件の内容によっては長丁場になることもあり得ます。「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」では、1日あたり8時間を超える被疑者の取り調べを行うときには、原則として警察署長などの事前承認を受けることとしています(規則第3条第2項第2号)。

    つまり、よほどの事情がない限り1日の取り調べ時間の上限は、8時間が目安と考えられているといえるでしょう。また、深夜や長時間にわたる取り調べも、原則として避けるように定められています(犯罪捜査規範第168条第3項)。

  3. (3)取り調べの期間

    取り調べの期間については、任意捜査と強制捜査とで異なります。

    任意取り調べの場合、最初から明確な期間が定められているわけではありません。実質的な強制捜査とならないか、社会通念上許される限度を超えていないかといった観点から、事案ごとに期間が判断されます。

    次に、身柄拘束を伴う取り調べの場合、警察では逮捕後48時間、検察では24時間という身柄拘束の時間制限に従います。なお、検察に送致された後で24時間以内に取り調べが終わらず、引き続き身柄の拘束をしたままの取り調べが必要と判断されてしまうと、裁判所に対して勾留請求が行われます。裁判所が勾留請求を認めると、最長20日間の勾留がなされることがあるため、結果、取り調べ期間は最長23日間にも及ぶ可能性があります。

  4. (4)取り調べは録音できるのか

    判決が出て有罪が確定するまで、被疑者はあくまでも疑いをかけられている状態に過ぎず、犯罪者ではありません。そのため取り調べの方法も時間も、被疑者の人権に配慮して行う必要があります。もちろん、参考人を取り調べる場合についても同様です。ただし、現実には犯罪を暴こうという警察の熱意が行き過ぎるあまり、自白の強要などの違法な取り調べが行われる可能性もあります。

    そこで、自衛のためにも取り調べの録音ができないのかが気になるところでしょう。これについては被疑者や参考人による取り調べの録音を禁じる定めはないので、録音は違法ではありません。実際、録音された取り調べの言動を証拠として、損害賠償を認めた裁判例もあります。ただし、無断で取り調べを録音する行為はトラブルに発展する可能性があるので、自己判断で行うのは難しいところです。

    取り調べの内容や方法に関して問題を感じた場合は、委任した弁護士と相談しながら進めるほうが確実でしょう。

3、警察から呼び出されたらどう対処するべきか

警察から被疑者として呼び出しを受けたときには、まずは素直に応じることを強くおすすめします。拒否し続けていると逮捕され、強制的に連行されてしまう可能性があるためです。場合によっては、長期にわたる身柄拘束になるケースもあり、そうなれば仕事や学校などの社会生活への影響は否定できません。逮捕されてしまうと身柄事件と呼ばれる扱いになりますが、その際、地方紙などでは実名報道されてしまう可能性は高いです。

したがって、繰り返しになりますが、警察から呼び出しを受けたときは素直に応じたほうがよいといえるでしょう。不安がある場合は、弁護士に相談してください。依頼を受けた弁護士であれば、任意の取り調べであっても同行して一緒に対応することができます。

取り調べでは、味方のいない中で警察から取り調べを受けるため、やってもいない行為の自白をしてしまう可能性もあるでしょう。あらかじめ弁護士を依頼しておくことによって、取り調べの受け答えのアドバイスを受けることができます。また、不当な取り調べを抑制することもできるでしょう。

なお、取り調べに対しては、自分の意思に反する供述をしなくてもよい権利である「黙秘権」があります(憲法第38条第1項・刑事訴訟法第198条第2項)。不利になりそうなことに対しては黙秘しても問題ありません。ただし、取り調べに非協力であると判断されると、身柄の拘束につながる可能性があります。黙秘権の適切な利用シーンなどについても弁護士であればアドバイスできるでしょう。

さらに、依頼を受けた弁護士であれば、もしあなたが、実際に罪を犯していたとしても、早期釈放や示談、執行猶予付き判決の獲得など、被疑者の権利を守るための弁護活動を行います。警察から呼び出された場合、できるだけ早く弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

4、まとめ

今回は、警察から呼び出された場合の対処法や取り調べについて説明しました。取り調べは人権を尊重した形で行われるべきものです。しかし、真実を究明しようと強い口調等を用いて被疑者を追い詰めようとする警察官も中にはいます。

これから取り調べを受けるという段階で不安な方、ご家族が警察に呼び出されたというときは、できるだけ早期にベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士へ相談してください。取り調べを受ける際の心構えや注意点などについて状況に適したアドバイスを行い、早期の身柄解放を目指します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています