不法投棄の罰則とは|初犯の場合の罰金はいくらになる?
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新潟県の発表によると、令和3年度における新潟県内全市町村を対象に調査した一般廃棄物の不法投棄の発見件数は1390件だったと公表されています。山林や空き地など人目につかない場所であってもルールに添わずゴミを捨てる行為は不法投棄にあたり、軽く考えがちになるかもしれませんが、逮捕されうる犯罪です。
不法投棄の容疑でご家族が逮捕されてしまったら、どのように手続きは進み、どのような罪に問われるのでしょうか。本コラムでは、不法投棄と逮捕後の手続きについて、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が解説します。
1、不法投棄とはどのような行為を指すのか
日々の生活の中で、収集日になれば当たり前のようにゴミを捨てているでしょう。集積場は、道路といった公共スペースの場合もあれば、マンションなどで独自に設定していることもありますが、決まった曜日にゴミを置いておけば、地方自治体がゴミを処分してくれます。
しかし、一定のサイズを超える物や家電製品といった粗大ゴミは、一般的には廃棄するために費用が発生します。
お金を支払いたくないという気持ちだけではなく、粗大ゴミを廃棄するための手続きが面倒といった気持ちから、人目につかない山奥などに不要になった家電製品や家具などを廃棄してしまう場合があります。このような廃棄行為は、法律や条令などに従った処分ではないため、不法投棄に該当します。
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(1)不法投棄とは
ゴミ、粗大ゴミ、燃え殻、不要物といった廃棄物を捨てる場合は、「廃棄物の処理および清掃に関する法律」によって、分別、運搬、処理方法などが規定されています。規定に反して捨てる、放置する行為については、不法投棄に該当することになるのです。
なお、廃棄物とは、占有者自身が利用し不要になった物、または他人に有償で売却することもできない不要な物のことを指しています。 -
(2)不法投棄に該当する例
不法投棄は、決められた場所以外に廃棄物を放置することなどを指します。具体的には次のような場所に廃棄物を放置すると、不法投棄に該当すると考えられます。
- 他人の家のゴミ置き場に勝手に自分のゴミを置く
- 空き地に放置
- 国や自治体が管理する、川や山などの公共の場所
- 私有地
- 道路
2、不法投棄の量刑は罰金? 懲役?
不法投棄は違法行為です。初犯であったとしても、複数回にわたって行っていたとしても、罪に問われうる行為であることを理解する必要があります。量刑によっては、刑務所に収監される可能性もあるのです。
なお、個人の場合と法人の場合で刑罰は異なります。
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(1)個人
個人が不法投棄をした場合、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方の刑に処すると規定されています(廃棄物処理法 第25条 第1項第14号)。
不法投棄した物や状況にもよりますが、初犯であり本人も反省している場合は、罰金刑だけになることもあるでしょう。 -
(2)法人
法人の場合は、3億円以下の罰金刑と規定されています(廃棄物処理法 第32条 第1項第1号)。
たとえば、引っ越し業者が、顧客から不要物を処分してほしいと依頼を受けたにもかかわらず、適切に処分しない場合などが該当すると考えられます。 -
(3)不法投棄をする前提で収集・運搬した場合
不法投棄をすることを目的として廃棄物を収集または運搬した場合は、3年以下の懲役刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の刑に処されます(廃棄物処理法 第26条 第6号)。
つまり、不法投棄をすると知りながら手伝った場合においても、罪に問われる可能性があるのです。
3、不法投棄で逮捕されてしまったら? 逮捕後の流れ
家族が軽い気持ちで行った不法投棄によって逮捕された場合、残された家族はどうすればよいのでしょうか。また、何ができるのでしょうか。
まず、逮捕された後の手続きについて解説します。
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(1)逮捕後の流れ
逮捕されるということは、警察がある程度の証拠をつかんでいると考えられます。初犯であっても、不法投棄した内容や量によって、量刑は変わってくる可能性が高いでしょう。
逮捕されると身柄を拘束され、警察署などで取り調べを受けることとなります。逮捕から48時間以内に検察官に送致されます。
検察官へ送致されると、検察官によって引き続き取り調べなどが行われます。送致されてから24時間以内に、勾留するかどうかが判断されます。
勾留が必要だと判断した場合は、裁判所に勾留請求がなされます。勾留請求が認められると、まずは10日間にわたって勾留されます。その後、さらに勾留が必要だと判断されると、さらに10日間が追加されるので、最大で20日間勾留される可能性があります。
勾留を経て、検察官は起訴するかどうかを判断します。起訴しない場合は、釈放されますが、起訴された場合は,身柄は拘束されたままになります。
刑事裁判は早くても数か月、長い場合は数年単位でかかります。罰金刑の判決であれば身柄は自由になりますが、懲役刑の場合は、執行猶予などがつかなければ刑務所に収監されます。 -
(2)逮捕された場合に考えられる懸念点
不法投棄で逮捕されると、前述したように最長で72時間にわたって取り調べを受けることになります。この間は、たとえ家族であったとしても、面会も連絡することもできません。つまり、家族へ連絡をするのはおろか、会社や学校などへ連絡することもできないのです。
そのため、家族は対応に苦慮することが予想されます。早期釈放されなければ、仕事や学校を休み続けることになります。逮捕された事実を、会社や学校に伝えざるを得なくなることもあるでしょう。
逮捕されたという事実だけで、懲戒処分になる社内規則を設けている会社もあります。早期釈放が望めない場合、会社を解雇される、留年や退学処分となるというリスクもあるのです。
逮捕されたという事実は、社会的な不利益がとても大きいといえます。 -
(3)家族ができること
逮捕された場合、一刻も早く事態を改善していく必要がありますが、逮捕された本人は真摯(しんし)に取り調べに対応する以外、打つ手はありません。そのため、改善策は家族に委ねられるといってもいいでしょう。
逮捕された事実を知った時点で早急に対応するべきことは、弁護士へ相談し、今後の対応についてアドバイスを求めることです。具体的にどのようなことを弁護士に依頼できるのかを、次の章で解説します。
4、不法投棄事件で弁護士ができることは?
不法投棄で家族が逮捕され身柄を拘束されると、社会活動から断絶されているという状態になります。少しでも早く、身柄を拘束された状態から解放させるためには、弁護士の力が必要です。
まず、逮捕されてから最大で72時間は、家族も面会ができません。しかし弁護士であれば、面会する法的な権利が認められています。事実確認や取り調べのアドバイス、家族からのメッセージなどを伝えることができます。
取り調べは孤独な闘いです。自身に不利な発言をしてしまう、追い詰められてしまいやってもいない罪まで認めてしまうといったことも考えられます。弁護士が適格なアドバイスし、精神的にもサポートすることで、そういった不利益を被る可能性を事前に防げます。
また、刑事手続きは、初動の弁護活動が、その後の明暗を分けるといっても過言ではありません。時間との勝負になるため、逮捕後素早く対策を練っていくためにも、弁護士の助けが必要不可欠でしょう。
取り調べ時のサポートを行う以外では、捜査機関に働きかけなどを行うほか、被害者がいる場合は示談交渉も並行して進めます。
示談交渉においては、加害者側の家族が直接対応しても、交渉がスムーズに進まないことが往々にしてあります。弁護士に代理人となってもらい、被害者感情に寄り添いながら、示談成立にむけて話し合いを進めることが大切です。
起訴されてしまった場合も、少しでも量刑が軽くなるように、証拠集めをはじめとした弁護活動を行い、最後までサポートを続けます。
5、まとめ
ゴミを捨てるぐらい、たいしたことではないと思うかもしれません。しかし、ゴミである廃棄物は処理のルールがあり、そのルールに反することは犯罪行為です。
軽い気持ちでした行為であっても、重い罰則が設けられています。また、逮捕されてしまうと、社会生活だけではなく、ご家族の人生にも大きく影響します。不法投棄をした本人が、犯してしまった行為を反省するのはもちろんですが、残された家族は早期に弁護士へ相談し、影響を小さくするために動くことが大切です。
不法投棄をした容疑でご家族が逮捕されてしまいお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでお気軽にご相談ください。新潟オフィスの弁護士が、力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています