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「立ち入り禁止」のエリアへの侵入は犯罪? 規制する法律について解説

2021年05月20日
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「立ち入り禁止」のエリアへの侵入は犯罪? 規制する法律について解説

新潟県には、新潟焼山という活火山があります。入山者の安全確保のために山頂から半径1キロメートルを警戒区域に設定し、立ち入りを禁止していましたが、平成30年11月15日に解除になりました。

新潟県は日本海に面していることから、釣りなどのレジャー目的で訪れる方も多く、場所によっては、立ち入り禁止区域になっている所もあります。

このように、さまざまな場所で「立ち入り禁止」区域が設定されていますが、その根拠となる法律や違反した場合の罰則は、場所などによって異なっています。軽い気持ちで「立ち入り禁止」区域に立ち入ったところ、重い処罰を受けてしまったということがないようにするためにも、「立ち入り禁止」に関する法規制を十分に理解しておくことが重要です。

今回は、「立ち入り禁止」区域に関する法規制を中心に、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が解説します。

1、日常生活で見かける「立ち入り禁止」

登山や釣りなどは、誰でも気軽に楽しむことができる趣味として広がっています。

登山者の中には、ロープなどで登山道が区切られていたり、場所によっては立ち入り禁止の看板があるのを見たこともあるでしょう。

また、釣りをするために立ち入ろうとした場所が、立ち入り禁止の場所であったり、禁漁区域であったりすることもあります。

他人の土地に無断で立ち入ることは、刑法上禁止されている住居侵入罪にあたることは理解できると思います。しかしながら、山や海など「公共の場所」への立ち入りがなぜ禁止されているのかは理解できないという方も多いかもしれません。

公共の場所であっても、さまざまな目的や理由から立ち入りが禁止されており、立ち入り禁止の場所に立ち入った場合には、罰則が適用されることもあります

2、立ち入り禁止と登山に関する法規制

登山に関する立ち入り禁止の法規制としては、以下のようなものがあります。

  1. (1)災害対策基本法に基づく規制

    災害対策基本法は、昭和34年の伊勢湾台風をきっかけに制定され、台風や火山の噴火などの自然災害から国民の生命を保護することを目的とした法律です。登山との関係では、火山警報に基づく規制がなされることが多いです。

    災害対策基本法では、市町村長または都道府県知事によって、警戒区域が設定され(災害対策基本法63条、73条)、警戒区域内への立ち入りが制限または禁止されることがあります。たとえば、箱根大涌谷や浅間山などでは、噴火警戒レベルの引き上げに伴い、入山規制がなされることがありますが、これらは災害対策基本法に基づく規制です。

    災害対策基本法に基づく立ち入り制限または禁止の措置に従わなかった場合には、10万円以下の罰金または拘留の罰則が適用されます(災害対策基本法106条2号)。

  2. (2)自然公園法による規制

    自然公園法とは、自然公園内の景観や動植物の生息および生育環境を保全するため、一定の開発行為を制限する法律のことをいいます。

    自然公園法によって、特別区域に指定された国立公園または国定公園では、許可ない指定区域内への立ち入が禁止されます。あくまでも「指定区域内」への立ち入りが制限されるだけですので、指定区域外は自由に歩くことが可能です。国立公園または国定公園への立ち入りが全面的に禁止されているわけではないことに注意が必要です。

    なお、許可なく指定区域内に立ち入りをした場合には、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることになります(自然公園法83条3号)。

  3. (3)遭難防止条例などによる規制

    各地方自治体の条例では、登山届の提出を義務する内容の登山条例が制定されていることがあります。群馬県では、「群馬県谷川岳遭難防止条例」によって、天候が著しく悪いなどの一定の条件を満たす場合には、危険地区の一部または全部の登山の禁止をすることができるとされています。

    これに違反して危険地区に立ち入りをした場合には、3万円以下の罰金が科せられることになります。

3、立ち入り禁止と釣りに関する法規制

釣りに関する立ち入り禁止の法規制としては、以下のようなものがあります。
立ち入り禁止の法規制とは異なりますが、ウニやアワビなどを密漁することによって漁業権を侵害した場合には、20万円以下の罰金に処せられることがあります(漁業法143条)。

  1. (1)軽犯罪法

    海や川などは公共の場所であるから誰でも立ち入ってもよいと思われる方も多いかもしれません。しかし、海や川であっても、管理者によって立ち入りを禁止されている場所に立ち入る行為は、犯罪に該当する可能性があります。

    軽犯罪法1条32号では「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者」に対して、拘留または科料に処すると規定しています。「拘留」とは、1日以上30日未満の身体拘束、科料とは1000円以上1万円未満の金銭徴収の罰則をいいます。

    このように、看板などによって、立ち入り禁止とされている場所に立ち入った場合には、軽犯罪法によって処罰される可能性があります。釣りをする際には、事前に立ち入り禁止の場所かどうかをよく確認するようにしましょう。

  2. (2)SOLAS条約

    SOLAS条約とは、タイタニック号海難事故を受けて制定された船舶の安全確保を目的とする国際条約のことをいいます。

    SOLAS条約は、平成13年9月のアメリカ同時多発テロ事件を契機に改正され、外航船と港湾施設の保安対策の強化が義務付けられるようになりました。それによって、従来は自由に立ち入ることができた港湾についても、保護柵や照明設備などを設けて、一般市民の立ち入りが制限されるようになりました。

    SOLAS条約は、簡単にいえば、密入国・密輸入の防止や国際的なテロの阻止を目的とした条約ですが、制限区域内への立ち入りについては、釣り目的であっても禁止されます

  3. (3)刑法

    釣りをしたり、電車の撮影をしようとして、私有地に立ち入っている場合もあります。

    土地の所有者や管理者の許可なくその土地に立ち入る行為は、刑法130条の住居侵入罪によって処罰される可能性があります。住居侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられます。

    私有地かどうかが曖昧な場所もありますので、立ち入りの際には必ず確認しましょう。

4、禁止を破って侵入してしまったら

立ち入り禁止の場所に立ち入ってしまった場合には、上記のように刑事罰が適用される可能性があります。そのため、心当たりがある人は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

立ち入り禁止に違反した場合は、比較的軽い犯罪類型であるため、逮捕されたとしても弁護活動次第では、早期に釈放されることも可能です。

逮捕された場合には、最長で23日間も身柄拘束が継続する可能性がありますので、社会生活を送る一般の方は、身柄拘束を受ける不利益ははかり知れないものとなります。仕事に就いている方は、長期間の欠勤を理由に解雇されてしまう可能性もありますし、学生などは学業への支障も大きいでしょう。そのため、早期に弁護士に依頼して身柄を解放してもらうことが重要となります。

また、釈放されたからといって事件が終了したわけではなく、在宅に切り替えて捜査が進むことになります。事件として起訴するか不起訴にするかどうかは最終的には、検察官の判断になりますが、弁護士を依頼することによって、有利な内容の処分を獲得することができる場合もあります。

弁護士としては、依頼者の今後の再犯防止や家族による監督ができる環境があることを検察官に対し説得的に伝え、寛大な処分を求めるよう交渉していくことができます。犯罪に該当する行為でも、有利な情状事実を積み上げて、粘り強く交渉を続けることで、不起訴処分などの有利な結果を得られることがあります。

たとえ罰金刑であっても前科になってしまいますので、不起訴処分となり前科が付かないようにすることは、今後の社会生活を送るうえで非常に重要になってきます。

5、まとめ

立ち入り禁止とされている場所については、災害による危険の防止や自然環境を保護するためなどさまざまな目的によって規制が行われています。そのため、安易に立ち入り禁止の場所に侵入することは、犯罪行為になるだけでなく、自らの生命を危険にさらすおそれもあります。

立ち入りを禁止していることには、必ず意味がありますので、むやみに立ち入ることは避けるようにしましょう。

立ち入り禁止の場所に立ち入ってしまったという場合でも、弁護士のサポートによって刑事上の不利益を最小限に抑えることができる可能性があります。立ち入り禁止の規制に抵触してしまったのではないかなど、何か気になることなどあれば、早期に、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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