息子が結婚詐欺で逮捕。詐欺罪の量刑や逮捕後の流れは?

2019年04月16日
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息子が結婚詐欺で逮捕。詐欺罪の量刑や逮捕後の流れは?

平成28年10月に公表された国勢調査の結果によりますと、新潟県では、15歳以上の未婚率は男性が30.5%、女性が20.2%と、前回の調査結果よりも上昇していました。
結婚する意思の有無は個人の自由です。しかし、お互いの同意でのみ成立する結婚は、ささいな認識のズレや、お互いの意思の相違によって、大きなトラブルに発展することもあります。

たとえば、結婚する気があったけれど突然結婚する気がなくなったために交際相手の元から去ってしまったところ、結婚詐欺として告発され逮捕される場合もありえます。はたまた、結婚する気がなかったにもかかわらず結婚する気があるような態度で、交際相手から金銭をもらっていた場合も、詐欺として逮捕される可能性があるでしょう。

もし、家族が結婚詐欺で逮捕されてしまった場合、家族はどうすればいいのでしょうか。逮捕後はどうなってしまうのかも含めて、新潟オフィスの弁護士が解説します。

1、結婚詐欺とはどんな犯罪?

結婚詐欺は、詐欺罪という刑法246条に規定された犯罪行為に該当します。
ただし、結婚詐欺という言葉自体は刑法に出ているわけではありません。いわゆる一般的にいわれている結婚詐欺の行為が詐欺罪に該当するのです。しかし、詐欺罪としての立件が難しい犯罪ともいわれています。

  1. (1)詐欺罪が成立するための要件

    詐欺罪が成立するためには、以下の要件が満たされる必要があります。

    1. ①欺罔(ぎもう)行為……だます行為
    2. ②錯誤……相手が勘違いすること
    3. ③処分行為……お金を貸すつもりで渡したなどの行為
    4. ④財物の移転……相手がお金を手にした
    5. ⑤財産的損害……お金を払ってしまった
  2. (2)結婚詐欺と詐欺罪

    詐欺罪の要件を、結婚詐欺に基づいて順番にみていきましょう。

    まず、結婚するつもりがないのに婚約者のように振る舞い、親が重病で手術費用が必要などと、本当はそんな事実がないにもかかわらずうそをつくと、欺罔行為にあたります。

    結婚できると思っている被害者は、なんとか力になりたいと、うそを本当だと思っているという錯誤が発生します。

    そして、自分のお金を一時的に貸すために大金を渡してしまうというのは処分行為にあたります。詐欺者がそれを受け取ると財物の移転と財産的損害となります。

    結婚相手ならば、何とか救ってあげたいと考えることでしょう。一時的に金銭の世話になってしまうことも、一般的にありえることだといえます。しかし、結婚詐欺の場合は、このような結婚する意思がない、ということが重要です。

    もし、本当に結婚するつもりで、お金も後できちんと返すつもりだったような場合は、詐欺罪の行為に該当しないため、結婚詐欺は成立しないでしょう。単純に、親の手術中に気が変わって結婚する気がなくなった、きちんと借りたお金は返すつもりだ、という場合であっても、詐欺罪にはなりません。

    詐欺罪として逮捕されてしまったとしても、お金を返すつもりがあったことなどをきちんと立証できれば、有罪になる可能性が低くなるかもしれません。しかし、やみくもに「返すつもりだった、結婚するつもりだった」と訴えても、警察や検察に信じてもらえることはないでしょう。
    必要な証拠を集めることや手続きなどは、弁護士に依頼して対応してもらうのがよいでしょう。結婚詐欺をするつもりがなかったという場合は、弁護士に相談して、そのことを立証する手助けをしてもらいましょう。

2、詐欺罪の量刑はどのくらい?

詐欺罪が成立してしまうと、10年以下の懲役になります。罰金刑がないため、有罪となった場合、執行猶予がつかない限りは懲役刑を受けなければなりません。

会社員の場合は、会社を解雇される原因にもなってしまいます。まずは不起訴を目指し、起訴されてしまった場合は、できる限り有罪判決にならないようにしましょう。有罪が避けられないのであれば、執行猶予を目指したりする必要があります。
弁護士による適切な弁護活動によって、これらの結果を得られる可能性が高まります。

3、結婚詐欺で逮捕された場合、身柄はどうなる?

結婚詐欺で逮捕された場合、手続きはどうなるのでしょうか。

  1. (1)逮捕後は取り調べを受ける

    まず、逮捕後は、被疑者として警察署で取り調べを受けることになります。この取り調べでは警察官により徹底的に追及が行われます。かなり厳しい取り調べといわれているほどです。

    逮捕から48時間以内に検察に送致するかどうか判断されます。送致後は検察官による取り調べがなされ、送致から24時間以内に勾留請求するかどうか決定されます。

  2. (2)勾留が認められると長期間の拘束に

    勾留が請求され認められると、10日間、延長も含めると最大20日間勾留されてしまいます。この間、外に出ることはできず、会社や学校などに行くこともできません。

    勾留が決定されるまでは、逮捕から最長72時間しかありません。この間に、勾留決定がなされないように力を尽くす必要があるのです。

    勾留の間には取り調べなどがなされ、起訴するかどうかが検察官に判断されます。起訴されなければ、釈放され、今まで通りの生活を送ることができます。

  3. (3)起訴されたらほとんどが有罪に

    起訴されてしまうと、そのまま身柄が拘束され、刑事裁判に進むことになってしまいます。

    こうなると、保釈が認められない限り、判決が出るまで外に出ることができなくなります。裁判は1年ほどかかることもあり、その間社会生活を送ることができません。

    さらに、起訴された場合、有罪率がとても高いのが日本の刑事司法の特徴です。詐欺罪で有罪判決となり、執行猶予もつかなければ、刑務所で懲役刑を受けなければなりません。こうなってしまうと、社会復帰は極めて難しいといえるでしょう。

4、家族はどんなことができる?

家族は、逮捕後の取り調べ中には面会することができません。しかし、弁護士は面会することが可能です。弁護士の面会を通して、家族の気持ちなどを伝えることが可能になるのです。

さらに弁護士は、被疑者に対し、刑事手続きや取り調べにおけるアドバイスもすることができます。もし、取り調べ中にうその自白や供述をしてしまった場合、あとから「あれはうそだった」と言っても、それが認められることはかなり困難です。弁護士は、こうした自らが不利になるかもしれない行動をしないよう、被疑者に対し助言をしてくれます。

被疑者本人は、逮捕されてしまったことに気が動転していて、弁護士を依頼することにまで頭が回らないこともあるでしょう。家族が弁護士に相談に行き、依頼することがおすすめです。

結婚詐欺のような詐欺罪には被害者がいますので、逮捕後勾留決定前の72時間以内に被害者と示談を成立させることが、いち早く釈放される近道となります。

勾留されたとしても、示談が成立すれば、起訴を免れる可能性も高まります。示談は、被疑者本人や被疑者の家族が交渉しようとすると、かえって被害者に反発されることも多いです。弁護士に依頼するとまとまりやすくなるといわれているので、家族が逮捕されたと知ったら、まずは弁護士へ相談しましょう。

5、まとめ

詐欺罪は、罰金刑がないため、有罪となると全て懲役刑となってしまいます。そのため、まずは起訴されないようにする必要があります。起訴されないようにするためには、被害者との示談が重要な要素となります。

弁護士に依頼して被害者との示談を成立してもらうとともに、身柄を拘束されている家族に自らが不利にならないようアドバイスをしてもらいましょう。

結婚詐欺で家族が逮捕されてしまったなどとお困りの場合は、ベリーベスト 新潟オフィスにお気軽にご相談ください。新潟オフィスの弁護士が力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています