詐欺で夫が逮捕。気になる逮捕後の流れと家族にできることとは?

2019年10月10日
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詐欺で夫が逮捕。気になる逮捕後の流れと家族にできることとは?

新潟県警察は、ホームページ上に「ひかるくんの事件簿」という情報ページで、特殊詐欺の被害情報を定期的にアップしています。特殊詐欺とは、電話やメール、ハガキなどの通信手段をつかって、面識のない不特定多数をだまし、現金を振り込ませるなどの詐欺のことです。新潟では、平成30年中に147件もの被害が発生しています。

当然のことながら、被害者がいる以上、詐欺行為を働いている加害者がいます。このような事件とは無縁だと思っていたのに、家族が詐欺で逮捕されたと警察から連絡があったら、ショックを受けるでしょう。弁護士に相談して良いのかなど、今後の対応が分からず不安になると思います。本コラムでは、家族が詐欺で逮捕された新潟の方向けに、逮捕後の流れや対処法についてベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が解説します。

1、多様化している詐欺

最近では、よくニュースでも目にするオレオレ詐欺だけではなく、詐欺の手口も多様化しています。気が付いたら詐欺に加担していた、というケースがあるかもしれません。

  1. (1)借用詐欺

    お金を返済する意思がまったくないのに、お金を借りる詐欺です。当初は返済する意思があったものの、途中から返済ができなくなったケースは詐欺と判断されないこともありますが、あきらかに相手をだましてお金を借りたケースは詐欺となります。

  2. (2)振り込め詐欺

    振り込め詐欺という言葉をニュースなどで目にすることが多くなりましたが、主には次のタイプの詐欺があります。

    ●オレオレ詐欺
    家族のふりをして電話をかけて「急にお金が必要になった」などと言葉巧みに、指定口座へお金を振り込ませる詐欺です。高齢者を狙うケースが多く、最近では警察官役を電話口に出したり、現金を直接受け取りに行ったりするなど手口が巧妙になっています。複数人で分業して、組織的に犯行に及ぶことが多い詐欺の手口です。

    ●架空請求詐欺
    実際には利用していないネット上のサービス料などを請求する、詐欺の手口です。アダルトサイトの利用料請求など、被害者が信じてしまいがちなことを理由にして、高額な金額を指定口座に振り込ませます。

    ●還付金詐欺
    主に高齢者をターゲットに医療費や年金の還付金の振り込みを電話で通知し、被害者をATMのところへ行かせます。しかし、還付金を引き出させるのではなく、被害者をだましてお金を振り込ませる詐欺です。

    ●融資詐欺
    融資の勧誘をし、先に保証金を振り込ませる詐欺の手口です。融資を受けるために必要だと言う口実で保証金を要求します。実際には融資をしてもらえず、お金をだまし取られます。

  3. (3)保険金詐欺

    保険に加入して、故意に事故を起こしたり、偽の診断書を作成したりして保険金をだまし取る詐欺です。

  4. (4)オークション詐欺

    実際には商品がないのに、インターネットオークションへ出品して落札者からお金だけをだまし取る詐欺です。オークションサイトへ掲載した写真とは違う商品を送る手口もあります。

  5. (5)フィッシング詐欺

    インターネット上で個人情報や口座の情報を盗み取り、口座からお金を引き出したり架空請求をしたりする詐欺の手口です。

  6. (6)金融商品取引詐欺

    偽の金融商品の購入代金を振り込ませる詐欺です。社債や未公開株のパンフレットを送りつけて、しばらくして証券会社の営業マンだという人物から電話をして勧誘します。「必ず値上がりする」「めったにない投資案件だ」と言葉巧みに勧誘する投資詐欺の手口です。

2、詐欺罪の量刑はどのくらい?

詐欺罪は法廷刑で、10年以下の懲役刑として処罰されます。懲役刑しかないため、実刑判決が下されると刑務所に収監されます。詐欺罪は、計画的にお金をだまし取るという犯罪の悪質性から、罰金刑がないのが特徴です。
実際の量刑がどのくらいになるかは、個別のケースごとに変わってきます。被害金額が大きかったり、繰り返し詐欺を行っていたりすると重くなる傾向にあります。

3、詐欺罪で逮捕された後はどうなる?

詐欺で逮捕された後はどうなるのでしょうか。逮捕された後の流れについて解説します。

  1. (1)逮捕

    詐欺罪で逮捕された後、警察で取り調べを受けます。家族であっても取り調べ中は面会することはできません。唯一、接見できるのが弁護士です。警察は48時間以内に検察庁へ送致するかどうかを判断します。

  2. (2)検察庁へ送致

    検察官は,事件が送致された後,24時間以内に被疑者の身柄を10日間拘束することを裁判所へ請求できます。この身柄拘束のことを勾留と言います。10日間が過ぎた後も、引き続き拘留の必要があると判断した場合は、さらに10日間の勾留の延長を請求することが可能です。勾留期間満了までに、検察官は被疑者を起訴するかどうかを判断します。

  3. (3)起訴~刑事裁判

    検察官が犯罪を立証できる証拠がそろっていると判断した場合は、起訴します。この時点で被疑者から被告人になり、刑事裁判の手続きへと進みます。
    日本国内で起訴された場合は、9割の確率で有罪判決を受けると言われており、無罪を獲得するのは非常に厳しいのが実情です。

4、被害者との示談交渉

詐欺罪の刑罰は重いですが、起訴前に被害者と示談が成立していると不起訴になる可能性が期待できます。また、起訴された後でも示談が成立すれば、量刑が軽くなったり、執行猶予がついたりと減刑される可能性があります。

被害者と示談をする場合は、以下のような流れになります。

  1. (1)被害者と連絡をとる

    被害者と話し合いをするためには、被害者に連絡する必要があります。被害者の連絡先がわからない場合は、弁護士が捜査機関に働きかけることで、入手できる可能性があります。しかし、加害者から直接連絡することを被害者が望まないことが多いため、弁護士を通じて連絡するほうが良いでしょう。

  2. (2)交渉

    身柄を拘束されている場合は、家族や身内が交渉することもあります。しかし、ほとんどの場合で、弁護士を介した示談交渉が行われています。話し合いに応じたということは、示談に応じる可能性があるということです。被害者の心情に配慮しながら、話し合いを進めることが大切です。

  3. (3)示談が成立したらやるべきこと

    示談金や示談の条件について話し合い、被害者が納得すれば示談成立となります。示談が成立したら、通常は合意内容を示談書として書面に残します。被害者と加害者の双方が、署名押印することで、示談合意書が完成します。
    示談が成立したら、合意した内容に基づいて確実に履行する必要があります。

5、逮捕後、家族にできることとは?

身内が逮捕されたら、さまざまな思いが頭を巡り、冷静ではいられないでしょう。しかし、あなたにとって、家族であることに変わりはありません。家族として、何ができるのでしょうか。

  1. (1)弁護士に相談する

    まず、少しでもはやく弁護士へ相談してください。前述したとおり、逮捕された後、唯一接見できるのは弁護士だけです。拘留が決定するまでの初期段階にどれだけ弁護活動ができるかによって、拘留されるかどうかなど、後の状況が大きく変わる可能性があります。
    また、平行して示談交渉を進めることもできます。

    刑事事件の場合、当番弁護士や国選弁護士、私選弁護士を選べます。
    しかし、当番弁護士は、今後の流れを説明する制度であって、弁護活動は行ってくれません。逮捕された時点で、状況を確認するという点においては有益ですが、継続したサポートは望めません。また、国選弁護士は、拘留の決定がされた後にしか依頼ができません。
    つまり、一番大切な初期段階で制限なく活動できるのは私選弁護士だけです。詐欺事件の経験豊富な弁護士へ依頼することが大切です。

  2. (2)本人との面会

    逮捕され後、最長72時間は家族が会うことは許可されません。ただし、勾留中の期間は、接見禁止にならなければ家族や友人は、原則として面会することができます。大切な人に会えると本人も勇気づけられることでしょう。また、今後のことや、犯してしまった罪に対して考える良いきっかけにもなります。

  3. (3)差し入れ

    原則として食べ物の差し入れはできませんが、衣類や洗面具、本などの差し入れはできます。面会に行くときに、差し入れも持って行ってあげてください。ただし、警察署によって、差し入れの細かいルールは異なりますので、事前に確認しておくと安心です。また、留置されているときでも、逮捕された本人は食べ物などを購入できます。現金の差し入れも喜ばれます。

6、まとめ

家族が逮捕されたと警察から連絡あったら、誰しもが冷静ではいられないでしょう。いろいろと考えてしまい不安になるかもしれませんが、刑事事件では早急かつ適切に行動することが大切です。家族だけで動くこともできますが、相談できる相手も限られます。感情が先だってしまい、思うように状況が進展しないことも少なくありません。警察からの一報が入った時点で、少しでも早く弁護士へ相談するのが良いでしょう。
家族が詐欺で逮捕されてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでご連絡ください。新潟オフィスの弁護士が早期の身柄釈放や減刑に向けて、尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています