結婚してない相手からの養育費請求! 妊娠を知らなくても払うべき?
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新潟市が平成26年11月から平成27年1月にかけて行った「結婚と出産に関するアンケート調査」の結果が、令和5年4月にサイトで公開されました。本調査結果によると、18歳から49歳を対象とした独身回答者のうち、全体の8.1%の方が(かつてのパートナーとの間にできた子どもも含め)自分に「子どもがいる」と答えています。
多いとは言えないケースだけに、以前の交際相手や肉体関係をもっただけの相手から、突然「あなたの子どもが生まれたので養育費を支払ってほしい」と要求されたら、誰でも動転してしまうでしょう。もし、結婚に至っていない相手が自分の知らない間に子どもを産んでいたとすれば「養育費を支払う義務があるのだろうか」と疑問を持たれているかもしれません。
本コラムでは、未婚の男女間に子どもが生まれた場合の養育費の取り扱いについて、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が解説します。
1、養育費を支払う義務が生じるケース
結婚に至らなかった相手との間に子どもが生まれてしまった場合でも、養育費の支払い義務が生じるケースがあります。まず、養育費の概念を理解しておきましょう。
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(1)養育費の基本と「認知」
法律上、親は子どもを扶養する義務があります。
ところが、両親が離婚してしまうと、経済力も分散してしまうため、子どもを満足に育てていくのが困難な状況に陥ることも少なくありません。そこで、親権のない側が「子どもを育てるために必要な費用」として金銭を支払います。
これが「養育費」です。
このように養育費の基本を見直してみると「結婚していない相手との間に生まれた子どもであれば、養育費を支払わなくても良いのではないか?」と考えるかもしれません。
ところが、離婚によって戸籍上の親子関係が解消されてしまった場合であっても、法律上の親子関係は解消されません。実親・実子である関係は、たとえ両親が離婚しても、親権者が別の異性と再婚しても変わらないのです。
つまり、結婚していない相手との間に生まれた子どもであっても、実子であることを認める手続きをすれば、父親として養育費の支払い義務が生じます。 -
(2)任意認知した場合
子どもの父親であることを認めて役所に認知届を提出すると、法律上の父子関係が成立します。この手続きを話し合いのうえで納得して行うことを「任意認知」といいます。
任意認知した場合、父親には養育費の支払い義務が発生します。
認知届の提出方法や提出時に添付する必要書類については、新潟市のホームページでも公開しているのでチェックしておきましょう。 -
(3)強制認知を受けた場合
認知をめぐるトラブルで非常に多いのが「父親である男性が認知を拒む」というケースです。
交際はしていても結婚する意思はない、肉体関係をもっただけの関係で協力して子どもを育てていくつもりはない、といった事例は少なくありません。
話し合いでは解決できない、話し合いを男性側が拒むといった場合には、女性側は裁判所に調停を申し立てて、男性に認知を求めることが考えられます。
調停でも問題を解決できなかった場合は、訴訟によって裁判官の判断に委ねる手続きへと移行します。
裁判官の判断で認知が決まることを「強制認知」といい、強制認知を受けた場合はこれを拒めないため、養育費の支払い義務が生じます。
2、未婚で生まれた子どもを認知するべきか?
「あなたの子どもだ」といわれて、すぐに納得して受けいれるという選択ができる方は多くないでしょう。
今後の生活や責任について深く悩むのは当然です。
未婚の男女の間に生まれた子どもについて、父親として認知するべきなのでしょうか?
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(1)認知をする・しないは自由
子どもの父親として認知する、認知しないという選択をするのは自由です。
男性が父親として認知することは容易な選択ではありません。そもそも、母親は実際に子ども出産しているの自身の子どもであることに疑いはないでしょう。しかし、実父であることは科学的に証明されない限り疑問が生じても不思議はありません。
なんら根拠もない場合は、認知して養育費の支払い義務を背負うのが賢明だとはいえません。一方で、むやみに認知を拒むのも賢い選択だとはいえないでしょう。 -
(2)強制認知を受ける可能性を考慮する
「認知しない」という選択肢に傾く場合は、強制認知を受ける可能性を考慮する必要があります。
強制認知を受ければ法律によって実父であるかを判断され、実父という判決がでた場合は子どもの養育費を支払う義務が生じるだけではなく、子どもに相続権も生じます。
相手が強制手段を用いる可能性がある場合は、むやみに拒むのではなく、協議をかさねるべきでしょう。
3、養育費を支払わないで済む3つの方法
未婚のまま子どもが生まれて養育費の請求を受けた場合でも、養育費の支払いを避けられる可能性があります。
ここでは、養育費を支払わないで済む3つの方法を解説しましょう。
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(1)相手と話し合う
養育費の支払いを求められた際に、まずは相手と話し合いの機会を設けることが大切です。
なかには養育費を請求されたことで連絡を絶つ、行方をくらませるといった対応をとる父親もいますが、相手を逆上させて強制認知を求める調停・訴訟を提起されてしまうおそれがあります。
なぜ認知をしないのか、養育費を支払うことができない理由を真摯(しんし)に説明し、理解を求めるべきでしょう。
場合によっては、毎月の養育費ではなく慰謝料として一時的な金銭を支払うことで解決できる可能性もあります。 -
(2)収入がない場合
収入がまったくない状況であれば、養育費の支払いは困難です。その場合は、養育費の支払いを避けられる可能性があります。
ただし、住宅ローンの支払いや借金の返済のため金銭に余裕がないといった理由では、養育費の支払い義務を回避することはできません。 -
(3)自分の子どもではないことを証明する
相手から「あなたの子どもだ」と主張されても、本当に実子であるか疑いをもつケースも少なくないでしょう。
たとえば、相手とは交際していないといった場合や、同時に複数の男性と肉体関係をもっていたという場合は、子どもの父親は自分ではない可能性があります。
親子関係を明らかにする方法としては、DNA鑑定が有効です。
以前は、検査機関で高額な費用を支払わないと鑑定することはできませんでした。しかし最近では、数万円程度で鑑定書付きの検査が可能なサービスも普及しています。
認知・養育費の支払いは実の親子であることが前提なので、親子関係が否定できれば養育費の支払い義務はもちろん、認知も拒むことができるでしょう。
なお、DNA鑑定は調停でも行われることがあります。
4、未婚で生まれた子どもの養育費トラブルを早期解決する方法
結婚に至っていない相手との間に子どもが生まれて、養育費を請求されるといったトラブルを早期に解決するには、弁護士への相談が有効です。
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(1)弁護士に相談するメリット
弁護士に相談すれば、子どもを認知するべきなのか、養育費の支払いは避けられる状況なのかについて適切なアドバイスが受けられます。
また、弁護士に代理人として交渉を一任することで、相手との話し合いや調停・訴訟への出廷をすべて依頼することが可能です。
精神的な負担だけでなく、トラブルに対応する手間も大幅に削減できるでしょう。
養育費の支払いが避けられない状況になっても、弁護士のサポートが得られれば養育費の支払いを減額するといった交渉を依頼できます。
子どもの母親が金銭的な理由のみで認知を求めているのであれば、一時的な金銭として慰謝料を支払うことで解決できるケースも少なくありません。当事者同士では感情的なやり取りになりがちですが、弁護士が代理人を務めることで相手の要望を具体的にとらえて対策が講じられるでしょう。 -
(2)合意内容は書面で担保する
話し合いによって認知・養育費に関する取り決めができた場合は、必ず書面に残すことが大切です。言葉だけで合意してしまうと、後々エビデンスを確認できずトラブルになる可能性があるためです。弁護士であれば、公正証書や契約書の作成を依頼することができます。
このように、トラブルを未然に防ぐための対応も講じてもらえるため安心です。
5、まとめ
未婚の男女間に子どもが生まれた場合、父親は「認知」によって実父・実子の関係を認めないと親子とはみなされません。母親は子どもを養育するため、または金銭的な問題を解消するために認知と養育費の支払いを望みますが、実際には自分の子どもであるのかもわからない状態で認知することは難しいでしょう。
子どもの認知・養育費トラブルを解決するには、弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。認知するべきなのか、養育費を支払う状況であるのかについて適切に判断し、有効な対策を講じることができます。
ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスでは、認知・養育費トラブルの解決実績を豊富にもつ弁護士が相談に応じています。
認知・養育費に関するトラブルでは、相手が感情的になっているケースが多いので、経験豊富な弁護士に交渉を一任するのが最善策です。
元交際相手や肉体関係をもっただけの相手から「子どもが生まれたので養育費を支払ってほしい」と求められてお悩みの方は、まずはベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています