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ツイッターで名誉毀損された! 法的対策を新潟オフィスの弁護士が解説

2019年12月04日
  • 一般民事
  • ツイッター 名誉毀損
ツイッターで名誉毀損された! 法的対策を新潟オフィスの弁護士が解説

平成30年9月、当時の新潟県知事がSNS「ツイッター」で投稿した内容が名誉を毀損(きそん)したとして、損害賠償を命じる判決が下されたと報じられました。
ツイッターには政治家などの著名人もアカウントを開設しており、多数のフォロワーが投稿に注目していますが、県知事の投稿が名誉毀損と認められた事例は珍しく、世間の注目を集めました。

ツイッターは、国内アクティブユーザー数が4500万人を記録した巨大コミュニティーです。情報を収集したり、さまざまな人と繋がりがもてたりというメリットがある一方、ひとりのユーザーの発言が爆発的に拡散するという特徴から、問題が発生するリスクをはらんでいます。

もし、ツイッター上で自分の誤った情報が拡散されてしまった場合、どのような対処法があるのでしょうか? ツイートをした本人や拡散したユーザーに責任を追及できるのでしょうか?

本コラムでは、ツイッターで名誉を毀損された場合の対処法や責任の追及方法について、新潟オフィスの弁護士が解説します。

1、ツイッターで名誉を傷つけられた! 相手を罪に問えるのか?

ネット上で誤った個人情報を拡散されてしまった場合、まず考えられるのが「名誉毀損罪」の成立です。ツイッターによる投稿・拡散でも名誉毀損罪が成立するのでしょうか?

  1. (1)名誉毀損が成立する可能性がある

    刑法第230条は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損(きそん)した者」について名誉毀損罪が成立することを明示しています。

    ツイッターはインターネットにおける投稿サイトであり、不特定多数のユーザーが閲覧可能なオープンスペースです。よって「公然と」という要件は十分に満たしています。

    「事実を摘示し」というと、真実の情報のみが対象になっていると思われがちですが、条文では「その事実の有無にかかわらず」としているため、情報の真偽は問われません。
    不名誉な真実も、まったくの虚偽でも、名誉毀損罪が成立します。

    また、「名誉を毀損し」と示されていますが、実際に名誉が毀損された事実があるかどうかは問われません。名誉が傷つけられる危険性があるだけで、成立するとされています。

    つまり、ツイッターによって個人の不名誉な情報を投稿された場合、投稿した相手に対して名誉毀損罪が成立する可能性があると考えられます。

  2. (2)名誉毀損の刑罰

    名誉毀損罪が成立し、被害者の告訴によって刑罰に処された場合、3年以下の懲役、もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科せられます。
    殺人などの凶悪犯罪と比べると刑罰は軽く感じるかもしれませんが、たとえ罰金刑でも前科がつきます。決して軽視できるのものではないでしょう。

2、名誉毀損となるツイート・実際の事例

名誉毀損となる可能性があるツイートの事例をみてみましょう。

●誹謗中傷を受けた事例

平成29年、ライターとして活躍している女性が、複数のアカウントから「淫売」「旦那は強姦魔」といった事実無根の内容を投稿された事例です。

被害者の女性は、地元の警察署に告訴状を提出して事件化すると同時に、損害賠償請求の訴訟を起こしました。裁判所は投稿者に対して、約264万円の支払いを命じています。(平成31年(ワ)第997号 さいたま地方裁判所)

●プライバシー侵害を受けた事例

たとえ真実の内容であっても、公然と事実を摘示してプライバシーを侵害した場合は、名誉毀損が成立する可能性があります。

令和元年7月、妻と離婚調停中だったアナウンサーの男性が、「離婚訴訟中だ」「すでに夫婦関係は破綻している」といったプライバシー侵害にかかるツイートをされたとして、東京地裁に損害賠償請求の訴訟を起こしたと報道されました。

離婚調停を進めていることは事実でしたが、個人的かつ事実をゆがめるような内容の投稿によって、プライバシーの侵害と名誉を損なわれたとして、提訴に踏み切った事例です。

3、リツイートも名誉毀損が成立! 「いいね」も罪になる?

ツイッターには、投稿機能のほか、投稿内容を拡散する「リツイート」や投稿に対して反応を示す「いいね」の機能があります。名誉毀損に該当する投稿に対してリツイートや「いいね」をする行為は、名誉毀損にならないのでしょうか?

  1. (1)リツイートが名誉毀損にあたるとされた判例

    ツイッターにおける「リツイート」とは、他のユーザーが投稿したツイートをそのまま引用してタイムラインに流す機能です。自分のアカウントをフォローしているユーザーに対して、他のユーザーの投稿を紹介する場合に用いられる機能で、拡散効果があります。

    誹謗中傷を書き込まれたユーザーにとって、リツイートしたユーザーは「拡散を手伝った存在」ですから、投稿の本人同様に責任を負ってほしいと考えるでしょう。

    実際に、令和元年9月、ジャーナリストの男性がおこなったリツイートが、元大阪府知事の男性の名誉を損なう行為だとして、慰謝料33万円の支払いを命じる判決が下され話題を集めました。

    「あとでゆっくり読むため」や「ただなんとなく」、「面白かったから」など、特段の意図がなくリツイートする人が多いのかもしれません。
    しかし、裁判所はリツイートに関して「引用形式により発信する主体的な表現行為」と判断しているため、名誉毀損にあたる可能性が高くなると考えられます。多数のユーザーにフォローされているなどの事情があれば、リツイートにも投稿同様の影響力があるとみなし、責任を問える可能性が高まるといえるでしょう。

  2. (2)「いいね」は名誉毀損とみなされない

    ツイッターの「いいね」は、投稿に対する賛同をあらわす機能です。
    また、特に賛同の意図がない場合でも、ユーザー間での「読みました」という意思表示として利用されることもあります。

    誹謗中傷の投稿に対して「いいね」で反応する行為は、誹謗中傷の対象となったほうとしては腹立たしく感じるものですが、名誉毀損罪でいうところの「事実の摘示」がありません。
    よって、単に「いいね」をする行為が、名誉毀損になる可能性は低いでしょう。

    ただし、これは現時点での裁判所の判断です。
    あまりにも攻撃的な誹謗中傷が繰り返されるなかで、拡散を目的として毎回のように「いいね」をする行為があれば、将来的には「名誉毀損を助長した」と判断される可能性もあります。

4、ツイッターで名誉毀損をされた場合の対応とは?

ツイッターで名誉毀損にあたる投稿を受けた場合、どのような対応をとれば良いのでしょうか?

  1. (1)削除請求

    ツイッターにはユーザー間でのダイレクトメッセージ機能がありますが、ツイートの投稿者に「削除してほしい」と要求しても聞き届けられるとは限りません。
    「本人から抗議を受けた」と逆に面白がって投稿が加熱する危険もあるので、賢明な対応だとはいえないでしょう。

    ツイッターは利用規約によって違反コンテンツが規定されており、特定の個人を指す暴言や不名誉な内容、人種や性別などの差別発言などは、削除の対象になるとしています。そのため、ツイッターに名誉毀損の投稿をされた場合は、ツイッターの運営側に通報することで削除される可能性があります。

    ただし、ツイッターの運営側は、憲法で保障されている「表現の自由」との兼ね合いから容易には削除に応じないことも考えられます。もし、ツイッター運営側が削除に応じてくれない場合は、裁判所に削除依頼の仮処分申請をおこない、裁判所の命令として削除してもらう必要があります。

  2. (2)投稿者の特定

    名誉毀損の投稿に対して責任を問うには、投稿者を特定する必要があります。
    ツイッターでは任意のユーザー名を使用できるため、本名を使用しているケースは少なく、非常に匿名性が高いツールだといえます。

    ツイッター運営側にユーザー情報を開示するよう求めても、裁判所の命令がない限りは開示されません。
    そのため、裁判所に「発信者情報開示請求」の仮処分を申し立てる必要があります。開示請求があれば、投稿者のIPアドレスを取得することができます。IPアドレスを元に、プロバイダーに対しても発信者情報開示請求をおこなうことで、投稿者の特定が可能です。

  3. (3)損害賠償の請求

    発信者情報開示請求によって投稿者が特定できたら、名誉を損なわれたことに対して、損害賠償を請求することができます。

    まずは、投稿者の住所地に対して損害賠償を請求する旨の文書を送付します。これに応じない場合は、裁判所に損害賠償請求の訴訟を申し立てることになります。

  4. (4)告訴状の提出

    民事的な方法と並行して、住所地の警察署に名誉毀損事件として告訴状を提出するのも有効です。

    警察が告訴状を受理して捜査を開始すれば、投稿者は犯罪の被疑者として取り調べを受ける立場となります。
    投稿者としては、逮捕や前科がつくことを避けたいと考えるため、投稿の削除や慰謝料などの支払いにも応じてくれる可能性が高まるでしょう。

5、名誉毀損を受けたら弁護士に相談を

ツイッターにおける名誉毀損を受けた場合は、個人で対策を講じるのではなく弁護士に相談するのが賢明です。

投稿者本人に削除を請求する場合、個人名よりも弁護士名で請求したほうが相手へのけん制が強くなり、削除に応じる可能性も高くなることが期待できるでしょう。
また、投稿者が削除に応じてくれない場合でも、ツイッター運営側への削除依頼を出したり、裁判所への仮処分申請を行ったりと、削除してもらうための手続き進めるのはもちろんのこと、それらの対応も一任できます。

また、投稿者が特定できた場合は、慰謝料の請求や損害賠償請求訴訟の提起といった手続きが必要です。裁判所の手続きでは、名誉毀損の事実を証明する証拠の提出など手続きが多いため、弁護士のサポートは必須です。

このように、ツイッターにおける名誉毀損の解決には、多大な労力と時間を費やすことになります。弁護士に一任することで、少しでも早く削除をする、相手を特定するといったことがスムーズに進められます。
知らない相手から悪意に満ちた攻撃を受けると、精神的に追い詰められてしまうこともあり得ます。ひとりで悩まず、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

6、まとめ

ツイッターはSNSのなかでも特に拡散力が高く、ひとたび不名誉な投稿が出回ってしまえば事態の収束は容易ではありません。もし、ツイッターで不名誉な投稿をされた場合は、拡散を防ぐために早急な対策が必要となります。
また、投稿者が特定できれば慰謝料を含めた損害賠償も請求できるため、発信者情報開示請求などの対応も必要です。

ツイッターによる名誉毀損トラブルでお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでご相談ください。
ツイッターをはじめとしたインターネット上の名誉毀損・誹謗中傷トラブルに対する対応実績が豊富な弁護士が、全力でサポートします。ツイッターによる名誉毀損トラブルはスピード対応が大切です。対応に悩む前に、まずはベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまで、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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