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「退職は3ヶ月前の申し出必須」と就業規則で定めることはできるのか

2019年09月17日
  • 労働問題
  • 就業規則
  • 退職
  • 3ヶ月前
「退職は3ヶ月前の申し出必須」と就業規則で定めることはできるのか

厚生労働省が発表している最新のデータによりますと、令和元年6月時点における新潟県内の有効求人倍率は1.67倍です。同時期における全国の有効求人倍率は1.61倍ですから、新潟県は全国平均よりも雇用情勢がよいといえるでしょう。これは新潟県内の会社が、依然として人手不足に悩んでいることと同義といえるのではないでしょうか。

労働力の確保について、なかなか採用したい人を採用できないこと以上に、経験を積み重要な戦力となっている人材の流出に頭を悩ませている会社は多いものです。そのためか、就業規則などで「退職する場合は3ヶ月前までの申し出が必要」などと規定している会社も存在しているようです。しかし、それが従業員とのトラブルなどに発展することもあるのです。

このコラムでは、退職する従業員に「3ヶ月前までの申し出」を義務付けることが可能なケースとそうではないケースや、会社として控えるべき従業員への対応について、労働問題全般を取り扱っているベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が解説します。

1、法的な退職申し出期間のルール

「従業員が退職する場合は、3ヶ月前までに会社へ退職の申し出を行い、受理されなければならない。」
退職を申し出る期間について、就業規則に上記のような規定を設けたうえで労働者に義務付けることは可能か? 法的に有効か? というようなご相談をいただくことがあります。
たしかに従業員の急な退職は、後任の新規採用や業務の引き継ぎなどを考慮すると、会社側にとって頭の痛い問題です。新規採用や引き継ぎのため、労働者が退職する前に十分なリードタイムを確保しておきたいという会社側の事情もよくわかります。
しかし、このような規定を就業規則に設けたとしても、基本的に無効とされる可能性のほうが高いでしょう。
民法第627条1項では、正社員など雇用の期間の定めがない労働者の退職について、以下のように定めています。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」
つまり、雇用の期間の定めがない従業員の自己都合退職は、労働者が雇用契約の終了すなわち退職日の2週間前までに会社側へ申し出ることで、会社側の都合に関係なく認められるのです。
民法にかぎらず、法律は個社の就業規則に優先します。したがって、労働者は2週間以上前までに退職の申し出をすれば退職できると民法に規定されている以上、就業規則に「退職する場合は3ヶ月前までに申し出なければならない」と規定していたとしても、それは基本的に無効になると考えられるのです。実際に、「退職の申し出は1ヶ月前まで」と明記した就業規則は無効とし、2週間前までの申し出により退職できるとした裁判例もあります。

ただし、ここで紹介した民法第627条1項は雇用の期間の定めがない従業員の退職について規定したものです。

2、法的に「3ヶ月前」が有効な場合とは?

では、期間によって報酬が定められている従業員についてはどのように扱えばよいのでしょうか。

民法第627条3項では、期間によって報酬が定められている従業員の退職について、「6ヶ月以上の期間によって報酬を定められている場合の解約の申し入れは、3ヶ月前にしなければならない」と規定しています。

したがって、年俸制の従業員のように報酬を定めている期間が6ヶ月にわたる従業員については、少なくとも「3ヶ月前までに退職の申し出をしなければならない」という就業規則が有効になるのです。

3、従業員の自己都合退職に対してやってはいけないこと

従業員の自己都合退職を防止するために、会社ができることはかぎられています。民法で従業員が2週間以上前までに申し出れば退職が認められると規定されているためです。

いくら従業員を辞めさせたくないとはいっても、就業規則や労働(雇用)契約書などで以下のようなペナルティーを設けるべきではありません。法令違反とされかねない規定を設けていなかったとしても、従業員の自己都合退職をめぐるトラブルで会社による以下のような対応が認められた場合、会社は裁判による損害賠償の支払いや罰則など法的リスクのほか、事案が公表された場合は評判リスクを背負うことも考えられます。

最悪の場合、会社の存続そのものが危ぶまれることすらあり得るのです。

  1. (1)退職届の受け取りを拒否

    先述した民法第627条1項の規定により、どのような理由があるにせよ、会社側は従業員の退職届を拒否することはできません。会社側には、正当な理由などがある場合は必要に応じて従業員を解雇できる「解雇権」が認められています。これと同様に、従業員には日本国憲法第22条「職業選択の自由」により会社を退職する権利があるのです。

    従業員が退職の意思を示しているのにもかかわらず退職届の受け取りを拒否し、なおも働くことを強制した場合、強制労働を禁止する労働基準法第5条に違反しているとみなされます。このとき、労働基準法第117条の規定により1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金が科される可能性があります。

  2. (2)有給休暇を消化させない

    労働基準法第39条第4項では、会社に対して「労働者が希望する時季に有給休暇を与えなければならない」と規定しています。

    つまり、すでに退職することが決まっている従業員に対しても、希望があれば有給休暇を与えなければならないのです。したがって、従業員が退職日前に残っている有給休暇の消化を希望した場合は、これも認めなければなりません。

    自己都合で退職する従業員へのペナルティーのような感覚で、有給休暇取得の申請を拒否することは、もちろん認められません。退職する従業員といえど、正当な理由なく有給休暇を取得させない場合、会社は労働基準法第119条の規定により6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになります。

    確かに会社側には「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」においては、従業員からの有給休暇申請に対し取得する日などを変更するように命じる「時季変更権」が認められています。しかし、退職日が決まっており在職日数が少なくなっている従業員に時季変更権を行使することは現実的ではなく、むしろ時季変更権の濫用と捉えられる可能性があります。

  3. (3)最後の給料や退職金を支給しない

    自己都合退職する従業員へのペナルティーとして、最後の月の給料を支払わない、あるいは最低賃金額すら下回るほど大幅に減額するような行為は、労働基準法第24条および最低賃金法第4条違反に該当します。この場合、労働基準法第120条の規定により30万円以下の罰金、最低賃金法第40条の規定により50万円以下の罰金が科されることになるでしょう。

    また、就業規則や雇用契約などで退職金制度を規定しているにもかかわらず、自己都合の退職だからというだけの理由で退職金を支払わない、あるいは大幅減額するということも認められません。実際に、就業規則で「円満退職ではないかぎり、退職金は支給しない」という規定を設けていたのにもかかわらず、無効とされた裁判例があります。

    なお、もし給料や退職金の未払いがあった場合、退職した従業員から未払いの給料に対して年率14.6%(賃金の支払の確保等に関する法律第6条)、未払いの退職金に対して年率6%の遅延利息(商法第514条)を請求されることがあります。

  4. (4)損害賠償を請求する

    「従業員の自己都合退職により会社に損害が発生した」というような理由から、従業員に損害賠償を請求することはできません。また、就業規則や労働(雇用)契約書に明記していたとしても、労働契約の不履行に対し会社から違約金や損害賠償の請求を予定することを禁止する労働基準法第16条の規定により無効となるばかりか、会社は労働基準法第119条の規定により6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになります。

4、労働基準監督署から指導・監督が入ったら?

自己都合退職をめぐって従業員とトラブルになった場合、従業員の訴えにより労働基準監督署が介入してくることも考えられます。

労働基準監督署は、会社や経営者が労働関係法令を遵守しているか監督している厚生労働省の出先機関です。そして、労働基準監督署は不適切な就業規則や労働(雇用)契約で従業員の自己都合退職を妨害するなど、明らかな法令違反が認められる会社や経営者に対して逮捕・送検・告訴などを行う権限を有しています。

もし従業員の訴えにもとづき労働基準監督署が指導・監督に入った場合は、誠実に対応する必要があります。間違っても無視したり、虚偽の事実を申述したりすべきではありません。

5、まとめ

従業員の自己都合退職について法的な不明点があれば、ぜひ弁護士にご相談ください。弁護士であれば就業規則や従業員の自己都合退職に限らず、労働関連について会社の法的リスクを最小化するアドバイスや、トラブル発生時に会社の代理人としての役割を承っています。

また、ベリーベスト法律事務所では、弁護士のみならず、弁理士や司法書士、税理士などの士業と連携し、ワンストップで対応可能な顧問弁護士サービスも提供しています。もちろん、労働関連にかぎらず、幅広い範囲でご対応が可能です。労働関連に関するご相談は、ぜひベリーベスト法律事務所 新潟オフィスまでお気軽にご依頼ください。あなたの会社のために、ベストを尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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