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知っておきたい「事故物件の告知義務」。弁護士が分かりやすく解説!

2020年06月08日
  • 不動産
  • 事故物件
  • 告知義務
知っておきたい「事故物件の告知義務」。弁護士が分かりやすく解説!

先日ニュースでは、2019年の新潟県内の自殺による死亡率が全国ワースト4であったことが報道されました。
自殺した方が賃貸物件などに住んでいた場合には、その物件のオーナーや管理会社の担当者は注意が必要になります。
というのも自殺などがあった部屋は心理的瑕疵(しんりてきかし)がある事故物件と判断され、次の入居者の契約時などには告知義務が生じるためです。
本コラムでは、事故物件の告知義務についてベリーベスト法律事務所 新潟オフィスの弁護士が分かりやすく解説していきます。

1、事故物件(心理的瑕疵物件)とは

まず事故物件とはどのようなものなのかをご説明していきます。

  1. (1)事故物件とは

    一般的に事故物件とは、心情的にその物件に住みたくないと思われる事情(心理的瑕疵)があると判断される物件のことをいいます。
    「瑕疵」は、欠陥や傷などを意味する法律用語です。
    不動産を売買または賃貸する場合には、「雨漏りがする」「水漏れがする」などの物理的な瑕疵があればその物件に住みたくないと思うものでしょう。
    それと同じように「心理的に住みたくない」と思うような事情があれば、心理的瑕疵となりえます。

    たとえば前の入居者が殺される事件が発生した部屋については、通常心理的瑕疵があると判断されます。
    殺人事件の現場となった部屋であるという事情を知ったとしたら、一般的にはほとんどの方が「住みたくない」と思い契約をやめるであろうと考えられるためです。
    ちなみにこのような事情が気にならない方にとっては、「住みたくない」と思う事情がないので瑕疵はないともとれます。しかし心理的瑕疵の有無の判断は、個人の感じ方では決まりません。

  2. (2)事故物件に該当するケースとは

    事故物件に該当する代表的なケースとしては、次のような事情があげられるでしょう。

    • 物件で前の居住者が自殺した
    • 物件で最近殺人事件があった
    • 物件で前の居住者が孤独死して発見が遅くなった
    • 物件で前の居住者が火災によって焼死する事故があった


    個別の物件で発生したものでなくても、同じマンションの隣室や共用部分で発生した事件なども事故物件と判断される可能性があります。
    心理的瑕疵は目に見えないものであり、法律で明確な定義がなされているわけではありません。
    心理的瑕疵の有無をめぐってトラブルになれば、最終的には裁判で個別具体的に判断されることになります。

    裁判所では、事件の重大性・経過年数・買主の使用目的・近隣住民の事件の記憶・事業用物件では買主に生じた損害などが総合的に考慮されます。
    会社が所有・管理する物件が事故物件に該当するかどうか曖昧であるときには、弁護士に相談し従来の判例などからアドバイスを受けるとよいでしょう。

2、事故物件における告知義務とは

では、本題である「事故物件における告知義務」についてみていきましょう。

  1. (1)告知義務の内容

    前述したような事故物件については、宅地建物取引業法により契約者への告知が義務づけられています。
    告知義務の内容としては、重要事項説明書への記載と契約者への告知があります。
    契約者には、真実を告知しなければなりません。事故物件であることを知りながら隠したり、嘘を伝えて契約させようとする行為は禁止されています。

  2. (2)告知義務の判断基準

    一般的には賃貸よりも売買される物件の方が長期間の入居になることなどから、告知義務の判断に関して留意が必要です。

    たとえば家族用の居住物件は殺人事件などがあった場合に、その事実を知る近所の住民とも付き合いが生じ、契約の意思決定にも多大な影響が出るため、単身用の居住物件や不動産投資物件よりも継続的な告知をすべきでしょう。

    なお2020年の改正民法施行後は、売主の責任として「物の種類、品質、数量に関して契約の内容に適合する物や権利を引き渡すべき義務」が明記されます。そして瑕疵という用語に代わって、「契約不適合」という法律用語が使われます。
    法改正により物理的な面だけでなく、心理的な面も含めて契約不適合にならないように、告知義務の範囲を判断することがより一層求められるのではないでしょうか。

  3. (3)判例からみる告知義務の期間

    一定期間で入居者が入れ替わる賃貸物件で自殺などがあったときには、いつまで告知義務があるのでしょうか。
    たとえば単身用物件についての判例では、事件後初めて入居する賃借人には告知義務があるとしています。しかし、その次の賃借人については、「特段の事情がない限り」は事故物件の告知義務は生じないとしています。

    特段の事情には、告知義務を回避するために事故物件に大家である会社の社員を、短期間だけ賃借人として契約させたようなケースも該当します。このような場合、社員の次の賃借人に対しても告知義務が生じるので注意が必要です。

    また事件から2年を経過すれば、次の賃借人に告知する義務はないと判断した判例もあります。しかし、告知義務は2年経過してもなくなるものではなく、3年経過が必要だとする判例もあります。
    これらの判例は、大都市の単身用の賃貸物件の一応の目安にはなりうるといえるでしょう。

    一方、マイホーム用の土地の購入については、20年以上前に自殺があったケースでも告知義務を認める判例もあります。ただしこの事案では、自殺に関連する残虐な殺人事件があったことが近隣住民の記憶に深く残っているなどの特殊な事情がありました。

    一般的に心理的瑕疵については、近所の住民の記憶も薄れることもあり年月とともに瑕疵が薄まるものと考えることができます。
    しかしそれぞれのケースにおける事情を総合的に勘案しなければ、告知義務の有無を確実に判断することが難しいといえるでしょう。

3、告知義務に違反したらどうなる?

事故物件についての告知義務に違反したときには、会社はどうなるのでしょうか。
事故物件は、通常家賃などの相場を低く設定しなければ借り手が見つかりにくくなります。しかしだからといって自殺があった部屋をリフォームするなどして、告知義務に違反して事故物件であることを隠して契約することは避けるべきです。

なぜなら入居者の方の不利益となるばかりでなく、会社にも大きな損失をもたらす可能性があるためです。
告知義務に違反して契約を行ったときには、会社は契約相手から債務不履行や不法行為に基づく契約解除・損害賠償を請求される可能性があります。そのため会社としては、多くの出費を強いられます。そのうえ裁判やインターネット上の口コミなどから会社の信用が大きく損なわれ、会社を継続することさえ難しい状況になる可能性もあります。

4、事故物件について弁護士に相談するメリットとは

事故物件を取り扱う会社の経営者や担当者は、弁護士に相談して事故物件に関する問題を解決していくこともおすすめです。
相談のタイミングごとに、弁護士に相談するメリットをご説明していきます。

  1. (1)告知義務の有無を判断するとき

    心理的瑕疵となりうる事情を知ったときには、告知義務の有無を判断することが必要です。
    告知義務の有無は、契約の当事者は客観的に判断することは難しいものでしょう。
    また心理的瑕疵を判断するうえで、どのような事情を考慮すべきかはなかなか把握できないものです。
    弁護士は、判例などをもとにして告知義務の有無を判断してアドバイスすることができます。

  2. (2)契約時

    会社が取り扱う事故物件を賃貸したり売却する際には、賃貸契約などの契約条項も検討したうえで法的に不備のない契約書を作成することが重要です。
    弁護士は、契約書の内容のチェックやアドバイスが可能です。
    「どのような条項があれば後のトラブルにつながりにくいのか」といった点も踏まえてアドバイスできるので、トラブルを未然に防ぐことにもつながるでしょう。

  3. (3)トラブル発生時

    万が一事故物件に関してトラブルになったとしても、弁護士は会社側の代理人として契約相手と交渉することができます。当事者間で交渉するよりも弁護士が関与することで、冷静に話し合いが進みトラブルが早期に解決する可能性が高まります。
    また裁判などに発展してしまったときでも、弁護士は、裁判でどのような判断がなされるかの見込みをお伝えすることができます。そして裁判では、最大限会社にとって不利益にならないように弁護活動を行います。

5、まとめ

本コラムでは、会社が管理する事故物件の告知義務について解説していきました。
事故物件については、必ずしも明確な告知義務の判断基準があるわけではありません。
そのため裁判例などから、それぞれの事情を踏まえて個別に判断することが必要になります。

しかし日々の会社の業務のなかで、このような法的な問題を解決することは大きなご負担になることでしょう。
そういった場合には、日常的に法律に関する相談ができる顧問弁護士を利用してご負担を軽減するのもひとつの選択肢です。

ベリーベスト法律事務所では、ご利用しやすい顧問弁護士サービスを展開しています。
新潟市周辺で顧問弁護士をお探しの際には、ぜひベリーベスト新潟オフィスまでお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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